第2部 サッカー郵便物資料の源流 (1924年以前)
4.切手でないサッカー切手
時おりサッカー関連の図は描かれているが、国名が見当たらず、価格表示もないラベルまたはシールを目にすることがあります。これらは「シンデレラ」をはじめ、いろいろの名前でよばれますが、ここでは「ポスター・スタンプ」(Poster Stamp)を用います。これ自体は郵便物資料ではありませんが、郵便切手とともに封筒やハガキに貼られて使用された例もあり、この場合は郵便物資料の一部を構成することとなります。
先ず、いくつかの例を掲げます。
<義捐基金(有料) ノルウェー (1903年頃) >
いずれも海難防止や遭難者の支援金を募る目的で、珍しく販売価格が記されています。 |
|
|
|
<「FCベルン」クラブ創設20周年記念 スイス (1914年)>
<チョコレート会社の販売促進 スイス (1922年頃)>
チョコレート会社「TOBLER」の販売促進のための「おまけのシール」と考えられます。このNo.75シリーズは「FOOTBALL-MATCH」と銘うたれ、12種(No.889〜900)で構成され、各種のプレイ場面が描かれています。キャプションは全て英語で表記されています。3種類を選んで紹介します。 |
TEAMS LINED UP |
KICK-OFF |
CORNER |
<「チャリティゲーム」開催告知 イギリス (1925年頃)>
戦争などの孤児救済をうたった試合への観客動員を目的とするものです。 |
|
|
|
1890年から1914年まで、フランスを中心とするヨーロッパは「ベル・エポック<良き時代>」といわれています。この時代、「ポスター」は最初の隆盛期を迎え、アール・ヌーヴォーなどの芸術ポスターだけでなく、観光用ポスター(鉄道旅行など)をはじめとする各種の広告・宣伝ポスターが街に溢れだしていました。
「ポスター・スタンプ」もこのような世相を背景に登場、一説にはチョコレートのおまけに付けたところ、大人気となり収集の対象にまでなったと伝えられています。その後、上に示しましたように多くの目的で作成され、サッカー以外にも、オリンピックや国際博覧会、各種展示会の周知・宣伝の役割を果たしていたことが分かります。
1897年
ブリュッセル国際展示会
(芸術・科学・商工業の展示会) |
|
|
|
|
1912年
第5回オリンピック・ストックホルム
大会ポスター
(この大会では、記念切手は発行されなかった) |
◆画像をクリックすると、拡大画像をご覧いただけます。
「手のひらの上のサッカー史」に対するご意見・ご感想は、 こちらから。 |