第3部 ワールドカップ・世界的イベントへの道(1950〜1958年)
4.第5回ワールドカップ・スイス大会 (1954年)@
◆FIFA創設50周年を祝う大会
第2次大戦後はじめて、ヨーロッパで開催されたスイス大会は、FIFA創設50周年を記念する大会で、36の国・地域により地域予選が行われました(開催国と前大会優勝国のウルグアイは除く)。しかしながらソ連とアルゼンチンはエントリーせず、ポーランド、ペルー、台湾はエントリー後に棄権しています。
本大会は、第2回・イタリア大会以来久しぶりに16チームで繰り広げられました。
大会記念切手は1種(1954年の各種記念4種中の1種)だけでしたが、大会全体を宣伝する特別記念印数種が用いられ、大会専用のカバー(封筒)やマキシマム・カードなどバラエティに富んでいます。
消印は、使用局によって、「Fussball」:Basel、Bern、Zurich局、「Football」:Geneve、Lausanne局、「Calcio」:Lugano局と、ドイツ語、フランス語、イタリア語表記が使い分けされています。また、大会全体だけでなく、「開幕戦用」や「決勝戦用」と、次第に個別の試合に焦点があてられはじめたと感じています。
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第5回大会開催記念切手
(1954年3月15日発行・スイス) |
開幕戦用特別記念印付
マキシマム・カード
(ローザンヌ局・6月16日付)
<フランス語表記> |
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大会宣伝用特別記念印付ハガキ
(チューリヒ局6月9日付)<ドイツ語表記> |
―ちょっと寄り道―
“隠れ” ワールドカップ・サッカー切手
オーストリアとスイスに囲まれた小国リヒテンシュタインは、1954年5月18日に4種類のサッカー切手を発行しました。切手カタログのタイトルでは「スポーツ」として掲載されていますが、サッカー切手収集家は、第5回ワールドカップの記念切手として扱うケースが多々見受けられます。その理由は同国郵便のあゆみを知るまで分かりませんでした。
同国最初の切手発行は1912年ですが、これはオーストリア郵政により制作されたものです。しかし第1次世界大戦後次第にスイスとの結びつきを深め、1921年以降郵政事業はスイスの管理下に組み入れられ、この状態は1999年まで続きました。
つまり、実態はスイスのワールドカップに合わせて発行された切手であることが分かってきました。では、なぜワールドカップ記念切手としなかったのでしょう?
同国のサッカー協会設立は1934年ですが、FIFAに加盟したのは1974年のことです。当時、FIFAにも加盟していない国が、ワールドカップ記念と銘打った切手を発行することは憚られたからだと私は考えています。
「スポーツ」4種貼り初日実逓カバー
(1954年5月18日付・リヒテンシュタイン)
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