第4部 ブラジル、ジュール・リメ杯永久保持へ(1962〜1970年)
4.第8回ワールドカップ・イングランド大会 (1966) @
― サッカーと切手の母国で開催 ―
◆「FA100周年」と「FIFA 創設60周年」を祝う大会
第8回大会の開催地がイングランドに決定したのは1960年にローマで開かれたFIFA総会です。イングランドの他にスペイン、西ドイツが開催を希望していましたが、1963年に「FA100周年」を迎える「サッカーの母国」での開催に傾いていった結果でした。
1963年10月21日に「FA100周年記念試合」がウェンブリ―・スタジアムで行われました。対戦したのは「イングランド」と「FIFA選抜」(1対2)、これを記念する切手はイギリスからは発行されませんでした。唯一モナコが12種類もの切手を発行したことは、第2部6の「ちょっと寄り道」でふれましたが、未紹介のFA以前のボールゲームと共に紹介しておきます。
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FA100周年記念
切手下部に
「FOOBALL ASSOCIATION 1863・1963」と表記され、イングランド代表の
紋章“Three Lions”が描かれている。
(1963年12月12日発行・ モナコ)
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FA100周年記念
FA以前のヨーロッパ各地におけるゲーム風景
左上:16世紀イタリア・フィレンツェの広場、
右上:19世紀フランス
左下:1827年イギリス、
右下:1800年イギリス
(1963年12月12日発行・ モナコ ) |
1964年にFIFAは創設60周年を迎えていますが、これを記念する切手もモナコから発行されています。
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FIFA創設60周年記念
初日カバー
(1964年12月3日発行
モナコ) |
◆ボイコットを招いたアジア・アフリカの出場枠 “1”
1964年1月20日、地域予選(開催国イングランドと前大会優勝国を除く)の組分けがFIFA本部で決定されました。
1960年〜1964年に独立を果たしたアフリカの国の数は26ヵ国(うち15は1960年に集中)、“アフリカの60年代”の真っただ中でした。
予選に参加を申し出た国は74(開催国と前大会優勝国を含む)でしたが、17ヵ国(下記*)がボイコットし、予選参加は51に減少しました。理由はアジア・アフリカから本大会への出場枠がわずか “1” にすぎなかったことでした。
この結果、グループ16に残ったオーストラリアと北朝鮮(共にワールドカップ初参加)が争い、北朝鮮が6対1、3対1で勝利し本大会出場を果たしました。
(日本はオリンピックに備え、最初から参加を見送っています)
*ボイコットした国
ガ―ナ、ギニア、スーダン、セネガル、チュニジア、アルジェリア、リベリア、モロッコ、リビア、エチオピア、ガボン、アラブ連合共和国、カメルーン、ナイジェリア、マリ、韓国(以上グループ16)、シリア(グループ9)
※太字の国は記念切手は発行しました。 |
■本大会参加国 |
( )内はワールドカップ本大会出場回数
太字は過去の大会での優勝国 |
イングランド(開催国)(5)、アルゼンチン(5) 、イタリア(6)、
ウルグアイ(5)、
スイス(6)、チリ(4) 、
スペイン(4)、
ブラジル(前大会優勝国)(8) 、
ソ連(3)、メキシコ(6) 、
西ドイツ(4)、北朝鮮(初) 、ハンガリー(6) 、フランス(6) 、
ブルガリア(2) |
◆開催記念切手は、イギリス初のサッカー切手
大会開催に先立ちイギリス郵政は3種類の記念切手を発行しましたが、これがイギリス最初のサッカー切手です。
1840年にイギリスが最初の郵便切手を発行してから120年以上経っています。ちなみに日本最初のサッカー切手発行は1950年ですから驚きです。(1937年に「FA Cup」記念切手発行の計画がありましたが、実現しなかったことについては第1部13で述べたとおりです)。
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第8回大会開催記念 (1966年6月1日発行・ イギリス)
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第8回大会開催記念
初日カバー
(1966年6月1日発行) |
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