第1部 初期のサッカー切手
13.第3回ワールドカップ・フランス大会 (1938年)A
― イタリアのワールドカップ連覇 ―
ジュール・リメの母国フランスで開催されたこの大会、Joe Bridge
(本名 Jean Barrez、 1886〜1967年、New York 生まれ)がデザイした記念切手には、FIFAとFFFA (フランス・フットボール協会) の略号が表示されました。(下図)
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ワールドカップ開催記念
1938年6月1日発行
(フランス) |
また、彼の描いた開催記念絵ハガキ(下図)には、1934年のFIFAローマ総会で採択されたFIFA紋章入りの旗もはためいています。
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大会開催記念絵ハガキ
(フランス)
(1937年 Joe Bridge画) |
フランスは1回戦でベルギーを3対1で下し(ワールドカップ出場3回目で初の1回戦突破)ましたが、準々決勝でイタリアに1対3で敗れてしまいました。
イタリアは1回戦対ノルウェー戦で苦戦をしいられ、延長の末、かろうじてシルビオ・ピオーラのゴールにより勝利を手にしました。準々決勝の対フランス戦も厳しい試合でしたが、失うことはありませんでした。
準決勝対ブラジル戦、予想に反してブラジル監督ピメンタは中心選手のティムとレオニダス・ダ・シルバを起用しませんでした。試合が動いたのは後半でした。イタリアに先制点を許したブラジルは冷静さを失い、ドミンゴス・ダ・ギア(FW)がピオーラを倒しPKによる2点目を与え、試合は2対1で決しました。
イタリアは決勝でもハンガリーを4対2(前半3対1)で下し、ワールドカップ連覇を果たしました。
ワールドカップを連続して制した監督は、ポッツオだけであり、1936年のベルリン・オリンピック優勝を加えると、国際サッカー大会3連覇という偉業でもありました。
― ちょっと寄り道 ―
フランス大会記念切手は、英国「FA CUP記念切手」構想から
1937年、イギリス郵政とFA(イングランド・サッカー協会)は毎年5月の「FA CUP FINAL」の記念切手発行を企画していました。依頼を受けたJoe Bridgeは、「Blackburn Rovers 対 Accrington Stanley戦(FA カップ3回戦、2対2の引き分け)」の写真を元に切手の原画を作成しています。
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英国で発行予定だった切手
F.A. CUP
1871*−1937
*FA Cupは
1871‐72シーズンから
はじまった。 |
しかしながらイギリスの切手発行は取りやめになってしまいました。イギリス国王ジョージ5世は1936年1月20日に死去、あとを継いだエドワード8世は僅か8カ月で退位。急きょジョージ6世(映画「英国王のスピーチ」の主人公)が即位するという混乱の時期でもありました。なお、ジョージ6世は上述のカップ戦を11,636人の観客と共に熱心に観戦したといいます。
その後、Joe Bridgeは、このデザインをフランス郵政に売却、上述のとおりの修正が加えられ、フランス大会の記念切手として発行されました。
なお、Joe Bridgeは1931年6月6日から14日まで開催された7カ国サッカークラブ国際トーナメント大会のポスター制作も手がけています。
※7カ国サッカークラブ国際トーナメント大会の参加国:
イングランド、オーストリア、ベルギー、スペイン、フランス、スイス、チェコスロバキアのクラブチーム参加。 |
◇この項の参考文献
「Gibbons Stamp Monthly」イギリスの切手商発行月刊誌
「CAMEMBERT=MUSEUM 」(フランスのHP) Joe Bridgeの項
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