第1部 初期のサッカー切手
5.第1回ワールドカップ・ウルグアイ大会(1930年) @
― 大会周知・宣伝に利用された記念消印 ―
ウルグアイ大会の開幕戦は、1930年7月13日ですが、開催地の決定したのは前年5月のこと、準備期間は僅か1年と少しという厳しいものでした。
大会開催を周知・宣伝するための記念消印数種が準備され使用されました。これらの消印を押された郵便物はウルグアイ国内だけでなく、国境をこえて世界各地に配達され大会の宣伝の役割を担っていたことになります。
図1は、1930年5月6日付消印が押された絵ハガキですが、前年12月時点からの使用例も報告されています(「サッカーの特別消印」 ジョルジ・シー二著/イタリア) 。
同消印には、“EN 1930 EUROPA Y AMERICA/DISPUTRAN SUPREMACIAS/EN
FOOTBALL” とあります。(図2)
「1930年 ヨーロッパとアメリカ両大陸、サッカー最強決定試合開催」といったところでしょうか。そのほかの消印の表示内容として、
「1930年、世界のサッカー代表、ウルグアイに集結」
「ウルグアイ、最初の世界サッカー大会を開催」
「サッカーによる、世界友好の大会を開催」
があり、結構多彩です。
<図1> 第1回大会記念消印 (1930年5月6日付)
ウルグアイからアルゼンチン宛て (裏面絵ハガキ部分は豪華客船『コンテ・ ロッソ』号の写真。この船については次回で述べます)
<図2> 上記図1の文字部分
大会組織委員会からの通信物として使用される専用封筒も作成され、そこには第1回
大会ポスター(ギジェルモ・ラボルデ作でアール・デコ調の傑作といわれる)も採りいれられています(図3) 。
<図3> 第1回大会組織委員会専用封筒 (ウルグアイ)
― ちょっと寄り道 ― 同時代の日本のサッカー絵ハガキ
第1回ワールドカップ・ウルグアイ大会の直前に、東京では「第9回極東選手権競技大会」が5月25日から31日まで開催されました。この大会でもポスター4種類が制作され、絵ハガキとしても販売されています。
図4は、そのうちの1枚で、サッカー競技のゴール前の攻防が描かれています。残念ながらデザインした人は不詳とされています。
<図4> 「第9回極東選手権競技大会」記念絵ハガキ
大会記念印(陸上競技付)
財団法人大日本體育協會発行
|
「手のひらの上のサッカー史」に対するご意見・ご感想は、 こちらから。 |