―ちょっと寄り道―
「ザイールの傑作! 『ミュンヘンの豹』」
アフリカ地域予選の決定戦は、ザンビア、モロッコ、ザイールで争われ、ザイールが初めて本大会進出を決めました。アフリカから本大会へ最初に進んだ国はエジプト、(1934年イタリア大会)、ついでモロッコ(1970年メキシコ大会)、ザイールは3番目になります。
同国は大会記念切手6種と小型シート1種(同一デザイン切手料額違い)を発行しました。(「ミュンヘンの豹」と私は勝手に名付けています)。すばらしい出来映えのこの切手は、下部に表示されている「クールボアジェ社」(スイス〉により印刷されました。同社は品質の高い多色刷グラビア印刷技術を駆使し、1933年から1995年までの間に82の国・地域(国連本部を含む)の切手を受注するほどの実績を残しています。
<参考文献:「クールボアジェの栄光」大谷博 「郵趣」2002年2月号所収>
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大会記念6種と小型シート
(1974年7月17日発行・ザイール) |
ところで、現在ザイールという国はありません。1997年に元の「コンゴ民主共和国」に変えてしまったからです。この国が「コンゴ共和国」としてベルギーから独立したのは1960年。1965年にモブツ政権が誕生し「コンゴ民主共和国」に変わり首都名もレオポルドビルからキンシャサと変えました。さらに1971年に「ザイール」に改められていました。
なお、コンゴ川(ザイール川)流域の対岸にはもうひとつ、「コンゴ共和国」(首都ブラザビル)が存在します。この国も1960年にフランスから独立、1970年に社会主義国家「コンゴ人民共和国」となり、冷戦終結後の1992年には元の「コンゴ共和国」に戻っています。
1974年西ドイツ大会アフリカ地域予選の1回戦でナイジェリアと対決、1分1敗で敗退しましたが、大会記念切手を3回にわたって発行しています。
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大会記念切手 (1次2種)
(1973年12月20日発行・ コンゴ人民共和国) |
1969年1月、ペレの所属する「サントスFC」はコンゴ地域へも遠征し数試合を行っていますが、当時紛争状態にあった両国はこの間休戦し、試合観戦に備えたと伝えられています。
アフリカでは、ほかにも国名を変更した国が少なくありませんが、特に「二つのコンゴ」は切手収集家を迷わせる存在です。
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