第4部 ブラジル、ジュール・リメ杯永久保持へ(1962〜1970年)
9.第9回ワールドカップ・メキシコ大会 (1970) @
― 世界のスーパースターの競演 ―
◆大胆で色鮮やかなメキシコの記念切手
第9回大会開催国が、アルゼンチンと激しく争った末メキシコに決まったのは、1964年10月8日、オリンピック開催時に東京で開かれたFIFA総会においてでした。
グラフィック・デザイナー、ランス・ワイマン(Lance Wyman・米国人)はメキシコ大会の記念切手、記念絵ハガキや記念封筒、さらには今大会のマスコット“ピコ”(PICO・メキシコの国鳥わしの子)のデザインなど幅広く手掛けています。
また、ワイマンは、1968年のメキシコ・オリンピックの切手デザイン等も担当(当時若干20歳)していますので、一連の仕事として進められたものと考えられます。若さがもたらす明るい色彩はメキシコにフィットしている感じがします。
メキシコの開催記念切手1次の発行は、1969年8月16日です。大会がはじまる9ヵ月以上も前のこと、大会開催を広く世界に伝えようとする積極的な姿勢がうかがえます。
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大会開催記念マキシマムカード
(第1次記念切手・1969年8月16日発行) |
観客とボールを同じ位置に置きながら、わずかなデザインの追加により、2種類の切手に仕立て上げられている。 |
大会開幕日にも、第2次の記念切手2種類が発行されました。
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大会記念マキシマムカード
(第2次記念切手・1970年5月31日発行) |
メキシコの民芸品のお面と土偶や石像の顔の表情で観客席を表現している。
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―ちょっと寄り道―
大阪・万博会場でPRされた「MEXICO ’70」
1970年は「日本万国博・EXPO ’70」の年でもありました。万国博の「メキシコ館」の来訪者に立派な記念品が渡されています。横2つ折のタトウの表紙中央にはジュール・リメ杯(ワイマンのデザインによる)が金箔押しで描かれており、中には大会記念切手1枚が貼られた2つ折の台紙が入っています。
万博記念のみに限定制作された「MEXICO ’70」の郵趣品であり、貴重だと考えます。
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日本万国博メキシコ館来訪記念品 (左:表紙、右:台紙)
(1970年・メキシコ) |
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