第12部 「トヨタカップ」 日本で競うクラブ世界一
19.初代王者レアル、38年ぶりの世界一!
第19回トヨタカップ(1998年)
レアル・マドリード対バスコ・ダ・ガマ 2−1
1998年12月1日 国立競技場(東京) 観客 51,514人
得点 レアル:相手オウンゴール(25分)、ラウル(83分)
バスコ:ジュニ―ニョベルナンブカノ(56分)
主審 マリオ・サンチェス・ジャンテン(チリ)
監督 レアル: フ―ス・ヒディング(オランダ)
バスコ: アントニオ・ロペス
MVP ラウル 背番号7(レアル)
◆レアル、トヨタカップ初登場
「インタ―コンチネンタル・カップ」初代チャンピオン(1960年)のレアル・マドリードがトヨタカップに初めて登場しました。来日メンバーにはワールドカップ・フランス大会で活躍した次の10カ国18人もの各国代表経験者が顔を連ねていました。
<ドイツ代表:GK ボド・イルグナー>
<スペイン代表:DFマヌエル・サンチス、フェルナンド・ルイス・イエロ、アイトール・カランカ、イパン・カンポ、ホセ・エミリオ・アマビスカ、FWフェルナンド・モリエンテス、ラウル・ゴンザレス>
<イタリア代表:DFクリスティアン・パヌッチ>
<クロアチア代表:MFロベルト・ヤルニ、FWダボール・シュケル>
<ブラジル代表:DFロベルト・カルロス、FWサビオ>
<アルゼンチン代表:MFフェルナンド・カルロス・レドンド>
<オランダ代表:MFクラレンス・セードルフ>
<ポルトガル代表:MFエドガル>
<カメルーン代表:MFサミュエル・エトー>
<ユーゴスラビア(セルビア・モンテングロ)代表:FWプレドラグ・ミヤトビッチ>
(第9回トヨタカップ公式プログラム掲載メンバーリストによる)
対戦相手の南米チャンピオン、バスコ・ダ・ガマはFWドニゼッチ・カンディド(前年クルゼイロのメンバーとして来日)などブラジル人メンバーで構成されていました。
スター選手を揃えるレアルのペースで展開され、25分ロベルト・カルロスの強烈なクロスが相手DFのオウンゴールを誘い先制。56分に攻撃に転じたバスコのジュニーニョの得点で同点に持ち込まれ、バスコに勢いが生まれました。しかし83分、セードルフの長いパスを受けたラウルが相手2人をかわし、決勝のゴールを決めました。
レアルは1960年にペニャロール(ウルグアイ)を下して以来、38年ぶりの世界一の座奪還に成功しました。
■「白い巨人」レアル、ヨーロッパ復権
−第43回UEFAチャンピオンズ・リーグ(1997‐98シーズン)−
◆大会方式大幅変更
更なる大会方式の変更が加えられ強豪国8カ国*の国内リーグ2位チームにも出場権が与えられようになり、出場チーム数は55に膨れ上がりました。このため、第1次予選、第2次予選が行われ、グループリーグも6グループに拡大(24チーム)されました。
第1次予選 (1997年7月23日、7月30日)参加30チーム
第2次予選 (1997年8月13日、8月27日)参加32チーム
注* 強豪国:過去5シーズンのヨーロッパクラブカップにおける試合成績を数値化し、その上位8カ国を指す。
グループリーグ (1997年9月17日〜12年10日)
(国名後の< >は予選からの勝ち上がりを示す)
グループA
1位 ボルシア・ドルトムント(ドイツ)
2位 パルマ(フランス) <2次予選突破>
3位 スパルタ・プラハ(チェコ)<2次突破>
4位 ガラタサライ(トルコ)<2次突破>
グループB
1位 マンチェスター・ナイテッド(イングランド)
2位 ユベントス(イタリア)
3位 フェイエノールト(オランダ)<2次突破>
4位 FCコシツェ(スロバキア)<1次・2次突破>
|
FCコシツェ対ユベントス 対戦記念印付カバー
<1997年10月22日、結果:0−1> |
グループC
1位 ディナモ・キエフ(ウクライナ)<1次・2次突破>
2位 PSVアイントホーフェン(オランダ)
3位 ニューキャッスル・ユナイテッド(イングランド)<2次突破>
4位 FCバルセロナ(スペイン)<2次突破>
グループD
1位 レアル・マドリード(スペイン)
2位 ローゼンボル(ノルウェー)<2次突破>
3位 オリンピアコス(ギリシャ)<2次突破>
4位 FCポルト(ポルトガル)
グループE
1位 バイエルン・ミュンヘン(ドイツ)
2位 パリ・サンジェルマン(フランス) <2次突破>
3位 ベシクタシュ(トルコ)<2次突破>
4位 1FKイエーテボリ(スウェーデン)<2次突破>
グループF
1位 ASモナコ(イタリア)
2位 バイヤー・レバークーゼン(ドイツ)<2次突破>
3位 スポルティング・リスボン(ポルトガル)<2次突破>
4位 リエーゼ(ベルギー)<2次突破>
準々決勝 (1998年3月4日、3月18日)
レアル・マドリード対バイヤー・レバークーゼン 1−1、3−0
ボルシア・ドルトムント対バイエルン・ミュンヘン 0−0、1−0
ユベントス対ディナモ・キエフ 1−1、4−1
ASモナコ対マンチェスター・ユナイテッド 0−0、1−1
(アウェイゴール2倍ルールによりASモナコが準決勝進出)
準決勝 (1998年4月1日、4月15日)
レアル・マドリード対ボルシア・ドルトムント 2−0、0−0
ユベントス対ASモナコ 4−1、2−3
◆準決勝に進出したASモナコ
この大会で多くのフランス代表を擁したASローマは、グループFを首位で突破し、準々決勝でもマンチェスター・ユナイテッドを下しましたが、準決勝でユベントスに惜敗しました。<第12−18>−ちょっと寄り道―参照
|
ワールドカップ・フランス大会フランス代表メンバー
(切手付記念絵ハガキ)
<ASローマには、バルテス、プティ、トレゼゲ、アンリが所属>
(2002年4月27日発行・フランス)
|
決勝
レアル・マドリード対ユベントス 1−0
1998年5月20日 スタジアム・アムステルダム・アレナ
(アムステルダム、オランダ) 観客47,500人
得点 レアル:ミヤトビッチ(ユーゴスラビア/モンテネグロ)(66分)
監督 レアル・マドリード:ユップ・ハインケス(ドイツ)
ユベントス:マルチェロ・リッピ
第43回大会最多得点:デルピエロ (ユベントス) 10点
◆レアル、32年ぶりヨーロッパタイトル奪回
1980-81シーズン以来17年ぶりに決勝へ登場したレアル・マドリードが7回目の優勝を目指したのに対し、ユベントスは3年連続の決勝進出で3回目のタイトル獲得を狙っていました。
ワールドカップ・フランス大会開幕まで1カ月を切った決勝らしく、ユベントス所属のジダンとデシャンはレアル所属のカランブーと、両クラブに分かれて対決する場面が見られました。
すばやいパス交換から積極的に仕掛けるスピード感に満ちた緊迫したゲームが展開されました。相譲らぬ局面を打開したのが1998ワールドカップ・ヨーロッパ地区予選最多14得点をたたき出したミヤトビッチでした。66分、ロベルト・カルロスの放った弾丸シュートをユベントスのユリアーノがクリアしましたが、ボールはミヤトビッチの前に転がります。これに瞬時に反応したミヤトビッチは反転しながら飛び出した相手GKペルッツィをかわして決めました。
ユベントスは前シーズンの続き連敗を喫し、レアルは実に32年ぶりに悲願の7回目の ヨーロッパ制覇を達成しました。
■バスコ・ダ・ガマ、初の南米チャンピオン
−第39回 トヨタ リベルタドーレス・カップ(1998年) −
◆名称変更とメキシコの参加
大会名称にスポンサー名を付した「トヨタ リベルタドーレス カップ」となり、南米サッカー連盟(CONMEBOL)に所属しないメキシコを加えて開催されました。
準々決勝
ベネズエラとメキシコの各2、計4クラブによる予選(リーグ戦)の上位2チームを加えた20チームを5グループに分けて1回戦(リーグ戦)を行い、2回戦(ノックアウト戦)は1回戦の各グループ1〜3位の15チームに、前シーズンのチャンピオン、クルゼイロを加えた、16チームで戦われました。
バルセロナ(エクアドル)対ボリバール(ボリビア) 1−1、4−0
リバープレート(アルゼンチン)対コロン・サンタフェ(アルゼンチン)2−1、
3−1
セロ・ポルテーニョ(パラグアイ)対ペニャロール(ウルグアイ) 0−2、3−0
バスコ・ダ・ガマ(ブラジル)対グレミオ(ブラジル) 1−1、1−0
準決勝 (1998年7月16日、7月22日)
バルセロナ対セロ・ポルテーニョ 1−0、1−2、PK4−3
バスコ・ダ・ガマ対リバープレート 1−0、1−1
決勝
第1戦 バスコ・ダ・ガマ対バルセロナ 2−0
1998年8月12日 サンジャヌアリオ(リオデジャネイロ、ブラジル)
観客35,000人
得点 バスコ・ダ・ガマ: ドニゼッチ(7分)、ルイゾン(35分)
第2戦 バルセロナ対バスコ・ダ・ガマ 1−2
1998年8月26日 エスタディオ・モヌメンタル(グアヤキル・エクアドル)
観客72,000人
得点 バルセロナ: デアビラ(75分)
バスコ・ダ・ガマ:ルイゾン(24分)、ドニゼッチ(45分)
優勝監督 バスコ・ダ・ガマ:アントニオ・ロペス
第39回大会最多得点: セルジオ・ジョアン(ボリバール) 10得点
◆バスコ・ダ・ガマ南米初制覇
バスコの誇るツートップのルイゾン(大会通算7得点)とドニゼッチ(同5得点) が共に決勝の2試合で1点ずつを決め、この2人に好パスを供給したMFジュニーニョの活躍により、チームは初の南米チャンピオンに導きました。
|
「バスコ・ダ・ガマ 」
<リベルタド―レス
優勝クラブシリーズ>
(2001年8月21日発行・
ブラジル) |
― ちょっと寄り道 ―
国内リーグ優勝クラブ(1) <セリエA(イタリア)>
◆ユベントス 通算25回目の制覇 (1997-98シーズン)
ユベントスが勝ち点74、21勝11分け2敗で通算25回目のスクデットを獲得しました。
2位はインテル、ACミランは9位に沈んでいます。
|
ユベントス
セリエA優勝記念 (1998年5月18日発行・
イタリア)
|
国内リーグ優勝クラブ(2) <ブンデスリーガ(ドイツ)>
◆1FCカイザース・ラウテルン (1998年)
前シーズン、ブンデスリーガ2部で優勝し、今シーズン1部昇格したばかりでしたが オットー・レハーゲル監督のもと優勝を手に入れました。1997に東ドイツ出身のMFミヒャエル・バラックが入団しています。
|
1FCカイザース・ラウテルン
ブンデスリーガ優勝記念
(1998年9月10日発行・ドイツ) |
|
◆画像をクリックすると、拡大画像をご覧いただけます。
「手のひらの上のサッカー史」に対するご意見・ご感想は、 こちらから。 |