第12部　「トヨタカップ」　日本で競うクラブ世界一

１３．サンパウロ、世界一に輝く！

第１３回トヨタカップ（1992年）
サンパウロFC対FCバルセロナ　２−１
1992年12月13日　国立競技場（東京）　観客　60,000人
得点　サンパウロ：　ライー（27分、79分）
　　　　バルセロナ：　ストイチコフ（12分）
主審　ファン・カルロス・ルストー（アルゼンチン）
監督　サンパウロ：　テレ・サンターナ
　　　 バルセロナ：　ヨハン・クライフ（オランダ）
MVP 　ライー　背番号10（サンパウロFC/ブラジル代表）

◆サンパウロ、南米にタイトル奪還
　コロンビア（1989年）、オリンピア（1990年）、チリ（1991年）のクラブが世界一に挑戦しましたが、いずれ及ばず目下３連敗中の南米勢でした。
　初挑戦ながらサンパウロFCの陣容は魅力的でした。DFカフー、MFライー、FWミューレル等に９月から大ベテランのMFトニーニョ・セレーゾが加わり、より強化されました。
　先制したのはFCバルセロナ。ストイチコフ（12分/ブルガリア）がグラウディオラのアシストを受け、得意の左足で鮮やかなロングシュートを決めました。27分、ミューレルが左サイドを突破し、センタリングしたボールにライーが飛び込みながら胸でコースを変えて押し込み同点としました。その後、一進一退の展開でしたが次第に主導権はサンパウロが握り、79分FKのチャンスをつかみ、これをライーが決勝ゴールを決めました。
　初優勝したサンパウロFCの喜びはもとよりですが、トニーニョ・セレーゾにとっては特別の思いだったのではないでしょうか。半年前、ヨーロッパ・チャンピオンズ・カップ決勝で当時サンプドリアに所属していたセレーゾは、FCバルセロナにヨーロッパ王者を奪われ、今回世界一を決める戦いで見事にリベンジを果たすことが出来たからです。

クリスト・ストイチコフ (2004年6月2日発行・ ブルガリア）

◆イングランドのクラブ、７年ぶり大会復帰
　1985年決勝で起きた「ヘイゼルの悲劇」（ユベントス対リバプール）以降、イングランドの全クラブへの出場禁止処分が解かれ、アーセナルが出場しました。（アーセナルは１回戦でオーストリア・ウィーンを６−１、０−１で下しましたが、残念ながら、２回戦でベンフィカに１−１、１−３で敗れています）

◆準決勝にリーグ戦方式採用
　 １回戦（32チーム）、２回戦（16チーム）を勝ち抜いた８チームを２グループに分けリーグ戦を行い各グループ１位が決勝へ進出しました。

準決勝リーグ　（1991年11月27日〜1992年4月15日）
　グループA
　　1位　サンプドリア　（イタリア）
　　2位　レッドスター・ベオグラード（ユーゴスラビア）
　　3位　アンデルレヒト（ベルギー）
　　4位　パナシナイコス（ギリシャ）
　グループB
　　1位　FCバルセロナ（スペイン）
　　2位　スパルタ・プラハ（チェコスロバキア）
　　3位　ベンフィカ（ポルトガル）
　　4位　ディナモ・キエフ
　　　　　　 （CIS=独立国家共同体/1991年12月ソ連邦消滅）

決勝
FCバルセロナ対サンプドリア　１−０ （延長）
1992年5月20日　ウェンブリー（ロンドン・イギリス）観客　70,827人
得点　クーマン（111分）
監督　バルセロナ：ヨハン・クライフ（オランダ）
　　　　サンプドリア：ブヤディン・ボシコフ（ユーゴスラビア/セルビア）

大会最多得点：パパン（マルセイユ）、ユーラン（ベンフィカ）　各７点


◆バルセロナ、５回目の挑戦でヨーロッパの頂点に立つ
　ヨハン・クライフが1998年に監督に就任してから３年目の1990-91シーズン、５年連続でスペインリーグのタイトルを保持していたレアル・マドリードの６連覇を阻止し、６年ぶりのタイトル奪還に成功しました。
　 ヨーロッパ・チャンピオンズ・カップの過去出場４回の内２度の決勝進出を果たしながら、ベンフィカ（1960-61シーズン）とステアウア・ブカレスト（1985-86シーズン）に敗れて苦い思いを味わってきたバルセロナでした。
　攻撃的プレイの推奨者のクライフの下には、FWストイチコフ（ブルガリア）、MFピチェフ（オランダ）、ミカエル・ラウドルップ（デンマーク）、ロナルド・クーマン（オランダ）の才能ある外国人プレイヤーが集められていました。
　サンプドリアには２人のストライカー、ジャンルカ・ビアリとロベルト・マンチーニに加えてカタネッツ（ユーゴスラビア）、トニーニョ・セレーゾ（ブラジル）、ジャンルカ・パリュウカ（GK）らを揃えてバルセロナ戦に臨んできました。
　 イタリアとスペインのクラブが決勝で対決したこの試合は、あまり見所も無いまま０対０で延長に入りました。111分、バルセロナがゴール中央、20メートルの位置で得た間接FKを味方からのパス出しを受けたロナルド・クーマンが豪快に決めて決着をつけました。

■サンパウロFC、ブラジルに９年ぶりの南米タイトル
　−第33回リベルタドーレス・カップ（1992年） −

準々決勝
　参加21チームを５グループに分けて１回戦（リーグ戦）を行い、グループ１の４位までとグループ２から５までの各３位までの16チームで２回戦（ノックダウン戦）を行い、勝った８チームにより準々決勝が行われました。

サンパウロFC(ブラジル)対クリシウマ（ブラジル）１−０、１−１
バルセロナ(エクアドル)対
　　　　　　　　　　　　　　セロ・ポルテーニョ（パラグアイ）１−１、１−１、 PK４−３
ニューウェルス・オールドボーイズ（アルゼンチン）対
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 サン・ロエレンソ（アルゼンチン）４−０、１−１
アメリカ・カリ（コロンビア）対ナシオナル・メデジン（コロンビア）　１−０、 ４−２

準決勝
サンパウロFC対バルセロナ　３−０、０−２
ニューウェルス・オールドボーイズ対アメリカ・カリ　１−１、１−１、 PK11−10

決勝
第１戦　ニューウェルス・オールドボーイズ対サンパウロFC　１−０
1992年6月10日　コルドビオラ（ロサリオ・アルゼンチン）　観衆　45,000人
得点　オールドボーイズ：ベリッソ（38分・PK）

第２戦　サンパウロFC対ニューウェルス・オールドボーイズ　１−０
1992年6月17日　モルンビー（サンパウロ・ブラジル）　観客　105,000人
得点　サンパウロ：ライー（65分・PK） 　　
　　　　　　　
優勝決定PK戦
サンパウロFC　３−２　ニューウェルス・オールドボーイズ

優勝監督　サンパウロ：テレ・サンターナ

サンパウロFC　 ブラジル全国選手権優勝クラブシリーズ初日カバー （1987年8月29日発行・ブラジル）

― ちょっと寄り道 ―　 国内リーグ優勝クラブ　＜セリエA（イタリア）＞ ◆ACミラン、無敗でリーグ制覇　（1991-92シーズン） 　1991年から監督に就任したファビオ・カぺッロのもとでセリエA、12回目の優勝を無敗で成し遂げ、「無敵のミラン」とよばれるクラブの黄金時代がスタートしました。 ACミラン　セリエA優勝記念初日カバー （1992年5月25日発行・イタリア）

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