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■ 手のひらの上のサッカー史
   <INDEX>

第1部から第8部までは、こちらからアクセスしてください。

第9部
ヨーロッパ・チャンピオンズ・リーグの魅力

1.ヨーロッパ・クラブの実力

2.第1回欧州チャンピオンズ杯

3.レアル・マドリードの成長戦略

4.第2回欧州チャンピオンズ杯

5.第3回欧州チャンピオンズ杯

6.第4回欧州チャンピオンズ杯

7.第5回欧州チャンピオンズ杯

第10部
クラブ国際大会の拡がり

1.欧州対南米大会のはじまり

2.南米ペニャロールが世界一に

3.南米制覇のサントスが世界一

4.サントスが世界一を連覇

5.欧州王座がインテルに

6.インテル連続世界一に輝く

7.ペニャロール、世界一を奪還

8.アルゼンチン勢が初の世界一

9.マンチェスター・Uの復活

10.ACミラン、世界一を奪還

11.フェイエ、オランダ初の世界一

第11部
ゆらぐクラブ世界大会

1.アヤックス、決定戦を辞退
2.アヤックス、世界の頂点に立つ
3.アヤックス、世界戦を出場拒否
4.欧州覇者の辞退が恒常化
5.世界戦、初の開催中止
6.バイエルン、独初の世界一
7.クラブ世界一はボカジュニアーズ
8.世界一決定戦、2度目の中止
9.オリンピア、初の世界一
 

小堀 俊一 (こほり・しゅんいち)
1941年生まれ。 
フットボール・フィラテリスト、ビバ!サッカー研究会会員。
40年あまり前から、サッカー郵趣品(切手・はがき・封筒・記念消印などの郵便物資料)を収集し、楽しみながら世界のサッカーを学び続けています。
著書:「サッカー百科展」(1992年・大修館書店)、「サッカースタンプスタジアム」 (2002年・ 日本郵趣出版)


第9部 ヨーロッパ・チャンピオンズ・リーグの魅力

2.第1回ヨーロッパ・チャンピオンズ・カップ


◆ヨーロッパ・チャンピオンズ・カップの創設
 1954年「ヨーロッパサッカー連盟(UEFA)」が創設され、翌1955年にヨーロッパのクラブ・チームのチャンピオンを決める大会として、「ヨーロッパ・チャンピオンズ・カップ」が始まりました。
 この大会の提唱者は、フランス人ジャーナリスト、ガブリエル・アノ(Gabriel Hanot)ですが、フランス「レキップ紙」のサポートとクラブ世界制覇を目指す「レアル・マドリード」の会長サンティアゴ・ベルナベウの積極的画策により推進され、実現しました。なお、UEFAによる国別代表チームの大会は、1960年に「ヨーロッパ・ネーションズ・カップ」としてスタートします。
 ヨーロッパ・チャンピオンズ・カップがスタートした1955年は、スターリンの死(1953年3月)後、東西対立と冷戦の緩和「雪解け」へ向かっていたとはいえ、西ドイツが再軍備とNATO(北大西洋条約機構)加入を決めたのに対抗して、ソ連と東欧7カ国の軍事同盟「ワルシャワ条約」が結ばれた年でもあります。
 このような状況下にもかかわらず、最初のシーズンから、ハンガリーやポーランドのクラブが参加、翌シーズンにはチェコスロバキア、3シーズン目にはルーマニアと東ドイツも加わりました。なお、最初のシーズンに招かれたソ連のクラブ「グラナトキン(Granatokin)」は、「(ソ連の)冬は克服し難い」との不参加理由を表明したとのことです。(ワールドサッカーマガジン別冊初夏号「欧州チャンピオンズリーグ・クロニクル」 ベースボールマガジン社)
 また、中欧のユーゴスラビアとブルガリアも2シーズン目に登場し、ヨーロッパのクラブの大会として、国家の枠にとらわれない大会の魅力を提供し始めました。

UEFA創設50周年記念初日カバー
<2004年3月9日付・ スイス ニヨン局>

◆1955-56シーズン
 記念すべき最初のシーズン(1955〜56年)に出場したのは、次の16チームでした。準決勝までがホーム・アンド・アウェー方式で行われ、決勝戦のみが1試合で行われました。

予備予選 ※左が1回戦進出チーム
レアル・マドリード(スペイン)対セルベッテ(スイス)
パルチザン・ベオグラード(ユーゴスラビア)対スポルティング・リスボン(ポルトガル)
ACミラン(イタリア)対FCザールブリュッケン(西ドイツ)
ラピッド・ウィーン(スイス)対PSVアイントホーフェン(オランダ)
ハイバーニアン(スコットランド)対ロート・バイス・エッセン(西ドイツ)
ユールゴールデン(スウェーデン)対グワルディア・ワルシャワ(ポーランド)
ベレシュ・ロボゴ(ハンガリー)対アンデルレヒト(ベルギー)
スタード・ラーンス(フランス)対AGFオーフス(デンマーク)

1回戦 ※左が準決勝進出チーム
レアル・マドリード対パルチザン・ベオグラード  4−0、0−3
ACミラン対ラピッド・ウィーン  1−1、7−2
ハイバーニアン対ユ―ルゴルデン  3−1、1−0
スタード・ラ―ンス対ベレシュ・ロボゴ  4−2、4−4

準決勝
レアル・マドリード対ACミラン  4−2、1−2
スタード・ラーンス対ハイバーニアン  2−0、1−0

決勝
レアル・マドリード対スタード・ラーンス  4−3
1956年6月13日・パルク・デ・プランス(パリ)、観客38,239人
得点  レアル:ディ・ステファノ(14分)、リアル(30分、79分)、マルキトス(67分)
    ラ―ンス:ルブロン(6分)、タンブラン(10分)、イダルゴ(62分)
監督  レアル:ビジャロンガ
    ラ―ンス:アルベール・パトゥ


※おことわり:2014年10月4日に、掲載当初の表記「1回戦」、「2回戦」をそれぞれ、「予備予選」、「1回戦」に訂正いたしました。

〜 ちょっと寄り道 〜
ヨーロッパの地域クラブの大会

 ヨーロッパでは、チャンピオンズ・カップ以前から地域的なクラブの大会が開催されていました。代表的なのが、主として中部ヨーロッパのクラブの大会として1927年にスタートした「ミトロパ・カップ」と、1949年にはじまった、スペイン、ポルトガル、イタリア、フランスのクラブの大会「ラテン・カップ」(1957年まで開催)です。

  「ミトロパ・カップ」を提唱したのはフーゴ・マイスル(オーストリア・サッカー協会事務総長、1930年代初めの同国代表チーム監督)です。後にこの大会にはフランス、イタリア、スペインなどのチームも出場するようになりましたが、彼は将来的にはヨーロッパ全体のクラブの大会に仕立て上げる構想もあった、と伝えられています。
<参考資料:2004年「キリンカップサッカー」プログラムP58>

ワシャシュクラブ「ミトロパ・カップ」
3回(1956・1957・1962)優勝記念
(1962年11月18日発行・ハンガリー)

1938年ミトロパ・カップ決勝記念カード
SKスラビア(チェコスロバキア)対
フェレンツ・バローシュ(ハンガリー)
2−2、2−0
(1938年9月4日付プラハ局印)

 


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