第7部 ワールドカップ、世紀末から新世紀へ(1998〜2010年)
3.第16回ワールドカップ・フランス大会 (1998) B
― 20世紀最後の大会 ―
◆ 決勝ト―ナメント1回戦(結果)
クロアチア |
1−0 |
ルーマニア |
ドイツ |
2−1 |
メキシコ |
フランス |
〈延〉1−0 |
パラグアイ |
イタリア |
1−0 |
ノルウェー |
アルゼンチン |
2−2 PK 4−3 |
イングランド |
オランダ |
2−1 |
ユーゴスラビア |
デンマーク |
4−1 |
ナイジェリア |
ブラジル |
4−1 |
チリ |
◆ 準々決勝
◇ フランス 0−0 PK4−3 イタリア
90分を終えて両チーム無得点。延長戦でも決着せずPK戦へ。イタリアは1990年(準決勝対アルゼンチン)、1994年(決勝対ブラジル)に続いてのPKによる敗戦となってしまいました。
フランス |
ジダン |
リザラズ |
トレゼゲ |
アンリ |
ブラン |
|
○ |
× |
○ |
○ |
○ |
イタリア |
バッジョ |
アルベルティーニ |
コスタクルタ |
ビエリ |
ビア―ジョ |
|
○ |
× |
○ |
○ |
× |
◇ ブラジル 3−2 デンマーク
開始直後、デンマークのヨルゲンセンが決めて、点の取り合いという思わぬ展開となります。それでもブラジルはベベット、リバウドの得点により前半のうちに2対1と逆転してしまいます。粘るデンマークは、50分にラウドルップのシュートが決まり、同点となりました。最後はリバウドが決めてブラジルが逃げ切りましたが、ディフェンスに問題がある試合でした。
◇ クロアチア 3−0 ドイツ
前半終了前40分、ドイツのDFヴェルンスが退場処分を受けたことから、試合はクロアチアのペースとなり、ヤルニ(45分)、ブラオビッチ〈80分〉、シュケル(85分)と得点を重ねて圧倒的な勝利となりました。
◇ オランダ 2−1 アルゼンチン
前半、オランダのクライファート(12分)とアルゼンチンのロペス(17分)が得点し1対1、試合は終盤を迎えました。77分オランダのヌマン(MF)が2枚目のイエローカードで、87分にはアルゼンチンのオルテガがオランダGKファンデルサ―ルへの頭突きによりそれぞれ、退場処分を受けました。この混乱の隙をついて、試合終了直前に、オランダのF.デブールからの長いパス受けたベルカンプが決勝のゴールを決め、決着がつきました。
◆ 準決勝
◇ ブラジル 1−1 PK4−2 オランダ
46分にブラジルがロナウドの得点で先制しますが、試合終了近くの87分にパトリック・クライファートがヘディングで同点ゴールを決め、延長戦へ。両チーム得点を決められずPK戦に持ち込まれ,つぎのとおりオランダの2人が失敗、ブラジルの決勝進出が決まりました。
ブラジル |
ロナウド |
リバウド |
エメルソン |
ドゥンガ |
|
○ |
○ |
○ |
○ |
オランダ |
F・デブール |
ベルカンプ |
コクー |
R・デブール |
|
○ |
○ |
× |
× |
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大会記念カバー
(1998年5月19日特別記念付・
オランダ) |
◇ フランス 2−1 クロアチア
準々決勝で難敵イタリアを下したフランスの優勢かと思われましたが、大会に入って快進撃を続けるクロアチアに前半予想外の苦戦を強いられました。後半開始直後、クロアチアのシュケルが鮮やかに先制点をあげます。その試合再開直後にジョルカエフからのパスを受けたテュラム(DF)が右足で代表初ゴールを決め同点。69分、テュラムの左足ミドルシュートがゴール右隅に決まり、フランスが逆転、決勝へ進出しました。
◆ 3位決定戦 クロアチア2−1オランダ
オランダの勝利かと思われた試合でしたが、クロアチアはオランダの攻勢によく耐え、13分にプロシネツキの得点で先制します。21分、オランダのゼンデンが同点ゴールを決めます。試合を決めたのは、35分ダボル・シュケルのゴールでした。クロアチアは3位を獲得、シュケルも大会6得点をあげ、得点王に輝きました。
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3位獲得記念小型シート
(1998年7月24日発行・
クロアチア) |
―ちょっと寄り道―
「世紀末のチケット騒動」
日本がはじめてワールドカップ本大会でアルゼンチンと戦った、1998年6月14日、トゥルーズのムニシパル(市営)スタジアムの観客数は33,400人(収容数は、37,000人)と発表されています。日本人がその60〜70%を占めていたそうですから、2万人を超えていたことになります。その他に、入場券を手にすることが出来なかったおよそ1万人の日本人が、スタジアム周辺や同市が設けた野外スクリーンで試合を見つめていたといいますから、今さらながらその凄まじさに驚きます。
フランス大会の入場券問題は世界の各地で起きました。大会入場券は開催国(フランス)分<65%>が販売され、残りの35%は各国サッカー協会向け<20%>、スポンサー向け<7%>、公式代理店経由各国向け*<8%>に分配されました。
日本の旅行各社は上記の入場券ルートにアプローチしましたが、総数35,000ともいわれる申し込みに対し、結果として20%程度しか確保できず、多くのツァーが直前に中止され、社会問題化しました。 注)*日本での公式代理店は「ジェイワールドトラベル」。
当日試合を観戦出来た約2万の日本人はどのようにして入場券を手に入れたのでしょうか? 上述の正規ルートからの入手者を半数と仮定して、残りは非正規ルート経由で高額なチケット代を支払ったと考えられます。(1次リーグ正規料金:F.フラン145〜350
¥3,335〜8,050、1フラン、23円換算)
一方、日本の旅行代理店から注文を受けていたチケットブローカーも、現地で日本人に売る方がはるかに大きな利益を得られることから、空売りや二重販売が起きました。(この空売りには、日本の旅行代理店を斡旋したISLフランス支社がからんでいたかどで、同支社幹部が逮捕されたと報道されています)
私がもっと驚いたのが、オフィシャルスポンサー系列の旅行社のツアーでも同じことが起きたとのブログを読んだときでした。おそらく通常分配されるチケット枚数以外に入手を試みた結果だと思われます。
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準々決勝
フランス対イタリア戦
の
オフィシャルスポンサー・
チケット
(カテゴリー1)
イエローの部分にスポンサー名が印字されている。 |
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同チケット裏面
(オフィシャルスポンサー・ロゴが
印刷されている) |
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