第7部 ワールドカップ、世紀末から新世紀へ(1998〜2010年)
17.第18回ワールドカップ・ドイツ大会 (2006) D
― 4度目の優勝をめざしたドイツとイタリア ―
◆ 決勝
今大会不出場のウルグアイを除く、過去のワールドカップ優勝6チームがベスト8に名を連ねましたが、決勝に残ったのはイタリアとフランスでした。
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ワールドカップ優勝国シリーズ (左:イタリア、右:フランス)
(2006年6月6日発行6種中の2種・イギリス) |
◇ フランス・「準決勝進出記念切手」発行
決勝トーナメント1回戦、スペインを、リベリ、ビエラ、ジダンの3ゴールで逆転勝利、7月1日、準々決勝でブラジルを1対0で下したフランスは、7月5日に準決勝進出を祝う切手を発行しました。
大会前の評判は高くなかったフランスですが、次第に強さを発揮しはじめ、1998年決勝に続くブラジル戦の勝利!
「決勝進出」ではなく「準決勝進出」の記念切手発行に、「レ・ブルー」に対するフランス国民の期待の高まりを感じます。
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<レ・ブルー、ありがとう>
準決勝進出記念
(2006年7月5日発行・フランス)
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◇ イタリア対フランス <1対1、PK5対3><7月9日・ベルリン>
決勝戦は開始7分で動きました。フランス・マルダが、イタリアのマテラッティに倒されて得たPKでした。これをジダンがふわりと蹴ったボールはクロスバーに当たりましたが、決まりました。
19分、イタリアがCKから追い付きました。ピルロが蹴ったボールをヘディングで叩き込んだのはマテラッティでした。前半は1対1のまま終了。
後半に入り、アンリ、ジダン、リベリ、マルダの切れ味ある攻めを、守備意識の高いイタリアががっちりと固め、最終場面を鋭い読みでカンナバーロが阻止していきます。
フランスが、56分中盤ビエラが負傷交代、イタリアのリッピ監督も61分、ベロッタとトッティを下げ、イアキンタとデロッシを投入。さらに86分には、切り札デル・ピエロをピッチに送り出し、仕掛けました。それでも、フランスも崩れることなく試合は延長戦に突入しました。
延長の後半5分、イタリア・マテラッティの3度目の登場です。ジダンの頭突きを腹部に受けて倒れ、試合は続行されていましたが、かなりの時間が経って、エリソンド主審がジダンにレッドカードを突きつけました。ジダンは抗議することもなくピッチを去って行きました。(FIFAの処分はジダン3試合、マテラッティ2試合の出場停止)
ジダンを失ったフランスはもとより、ひとり多くなったイタリアにも余力は残されていませんでした。そのまま延長戦は終わり、PK戦になりました。
PK戦は、スタジアムにブーイングが渦巻く騒然としたなかで行われました。イタリアはワールドカップPK3戦全敗中、特に1998年大会では、準々決勝でフランスとのPK戦にも敗れていました。しかし、この日のイタリアはタフでした。この試合の主役となり、フランスの敵役になったマテラッティ(2人目に蹴った)をはじめ、5人全員が失敗しませんでした。
大会直前に明るみに出たサッカー界最大のスキャンダルがイタリア代表「アズーリ」に団結をもたらし、勝ち取った4度目の栄冠でした。
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イタリア優勝特別記念消印
(2006年7月9日付
ベルリン局印・ドイツ) |
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決勝・イタリア対フランス公式カード
(2006年7月9日付特別記念消印・
ベルリン局・ドイツ) |
◇ イタリア・優勝記念切手発行
優勝を勝ち取ったイタリアは、同国国旗と4個の金の☆、背景にはトロフィーを掲げるカンナバーロ主将を取り囲むチームメイトを描いています。
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イタリア優勝記念切手
(2006年9月9日発行・
イタリア) |
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イタリア優勝記念初日ハガキ
(2006年9月9日付・ローマ局印・
イタリア)
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―ちょっと寄り道―
「セリエA優勝記念切手とカルチョ・スキャンダル」
2006年4月、イタリアの有力スポーツ紙「ガゼッタ・デロ・スポルト」が報じたイタリアサッカー界を揺るがす一大スキャンダルは、1986-87シーズンのナポリ優勝以来19年間続いてきた「セリエA優勝記念切手」発行にも影響を及ぼしました。
スキャンダルの中心となった「ユベントス」への処分は、(1)セリエBへの降格
(2006-07シーズンを勝点マイナス9からスタート)、(2)2004-05と2005-06シーズンのスクデットはく奪、(3)罰金12万ユーロなどでした。
「ユベントス」がスクデット獲得により記念切手に登場したのは、6回/19回中です。このうち2004-05シーズンの2005年6月6日に発行済の切手は、同チームの通算28回目の優勝取り消し処分により、「優勝クラブなし」となり、切手の上にのみ残ることとなりました。
また、2005-06シーズンの1位「ユベントス」と2位「ACミラン」が、処分後20位と3位の順位となりまました。3位から1位に繰り上げられた「インテル」でしたが、結局このシーズンの記念切手は発行されずじまいでした。
これらの影響で、多くのイタリア選手が海外に移籍し、イタリアサッカーは再出発を余儀なくされました。記念切手の発行の継続も心配されましたが、2006-07シーズン優勝の「インテル」(通算15回目・繰り上げ優勝を含む)以降発行され続けています。
その後インテルの5回とミランの優勝をはさんで、2011-12シーズンから「ユベントス」が再び登場しています。
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取り消された「ユベントス」
2004-05シーズン優勝記念
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再開された「インテル」
2006-07シーズン優勝記念 |
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