第7部 ワールドカップ、世紀末から新世紀へ(1998〜2010年)
4.第16回ワールドカップ・フランス大会 (1998) C
― 20世紀最後の大会 ―
◆ 決勝 フランス 3−0 ブラジル
ブラジルが、USA大会に続いて連覇し、通算5度目のワールドカップ優勝を果たすものと予想されていましたが、思わぬ結果となりました。 ブラジル最大の誤算は、体調不良が伝えられていたロナウドを強行出場させたが機能しなかったことでしたが、不安視されていた守備陣は、決勝でも改善されていませんでした。
一方、フランスは1次リーグ、決勝トーナメントとも守備は堅固で、8試合でわずか失点2(ブラジルの合計失点は10)でした。しかし攻撃陣は力を出せず、決勝トーナメントに入ってから、得点したのはDFのブランとテュラムの2人にとどまっていました。
試合はフランスの攻撃ではじまり、ブラジルが相手ゴール付近に攻め込みはじめたのは20分過ぎからでした。しかし27分、フランスがコーナーキックを得、プティが蹴ったボールをジダンがジャンプして高い打点からのヘディングで鮮やかに決めました。30分過ぎからブラジルの攻勢が続きますが、フランスの守備を崩せませんでした。前半終了近くから再びフランスが攻勢をかけはじめ、45分にゴール前の混戦からコーナーキックが繰り返され、2度目の左からのコーナーキックを、再びジダンが決めてフランスは大きく優勝に向けて前進しました。
ブラジルは、ベベト、ロナウド、デニウソン(後半からレオナルドに代わって出場)
のFW陣の下にリバウドを置き、50分過ぎから大攻勢をかけます。68分、フランスのデサイーが2枚目のイエローカードで退場するアクシデントに見舞われました。しかし、10人のフランスを相手にしても、ブラジルの攻めは活性化しないままでした。ロスタイムの92分に得たコーナーキックをもフランスに奪われ、カウンター攻撃からプティに 3点目を決められ、試合は終了しました。
第3代のFIFA会長であったフランス人ジュール・リメは、1930年にワールドカップを創始し、「ワールドカップの父」と称されてきました。そのリメの母国は、この大会で7番目に世界の頂点に立った国となり、20世紀最後の栄誉に、フランス郵政はさっそく優勝記念切手「Champion du Monde」の追加印刷に取りかかりました。
|
決勝戦
「フランス対ブラジル」
マッチデイ・カバー
(1998年7月12日
特別記念消印付・
フランス)
|
|
優勝記念加刷切手
(1998年7月13日発行・
フランス) |
|
優勝記念
マキシマム・カバー |
|
宛名面優勝記念切手付
絵ハガキ
(フランス代表集合写真) |
―ちょっと寄り道―
「20世紀ワールドカップ優勝記念切手シリーズ」
21世紀に入ってからのことですが、20世紀のワールドカップ優勝国が統一したデザインの切手を揃って発行しようという企画が立てられ、実行されました。残念ながら、イギリス発行の切手には「エリザベス女王」のシルエットを入れることになっているとのイギリス郵政の意向から、この共同発行に参加を見送りました。
切手は2種類ずつ発行され、左側の円形切には縦に優勝国の国旗(イングランドの聖ジョ-ジ旗を含む)が描かれ、ピッチ図のセンターライン右上に自国の国旗が配されている構図です。もう1種類には各国のユニフォームを着用したプレイ中の胸から下の写真と優勝年度が表示されています。(優勝年度の早い順に紹介します)
|
<ウルグアイ>
(2002年5月21日発行)
|
|
<イタリア>
(2002年11月29日発行) |
|
<ドイツ>
(2002年5月2日発行) |
|
<ブラジル>
(2002年4月22日発行) |
|
<イングランド>未発行
(ブラジルの記念ホルダー掲載図から) |
|
<アルゼンチン>
(2002年4月27日発行) |
|
<フランス>
(2002年4月29日発行) |
|
◆画像をクリックすると、拡大画像をご覧いただけます。
「手のひらの上のサッカー史」に対するご意見・ご感想は、 こちらから。 |