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ドイツW杯観戦日誌・目次
 
マルタとの強化試合に意義はあった(6/5)
開幕は静かに迫っている(6/6)
入場券は本当にないのか?(6/7)
ストライカーの決め手は判断力(6/8)
ワールドカップ開幕(6/9)
日本の敗因を考える(6/12)
フランスは復活するか(6/13)
「東欧の速攻」は滅びたのか?(6/14)
監督の用兵が勝負を決める(6/15)
米国が見せた9人での戦い方(6/17)
「決定力不足」を考える(6/18)
ドイツのサッカーの底力(6/20)
日本の敗退を考える(6/22)
ドイツは燃え上がる (6/24)
イングランドの放り込み(6/25)
カメラマンの戦い (6/26)
アフリカのサッカーを考える (6/27)
準決勝・ドルトムント (7/4)
準決勝・ミュンヘン (7/5)
決勝・ベルリン (7/9)
 

※このコンテンツは、ドイツ・ワールドカップ期間中に、同名のブログに掲載していた記事に加筆、転載したものです。

 

 


 牛木素吉郎のドイツ・ワールドカップ観戦日誌
  1970年メキシコ大会から10大会連続現地取材をしている
  スポーツジャーナリスト・牛木素吉郎のリポートです。(協力:ビバ!サッカー研究会)

6月22日(木)
日本の敗退を考える

日本 1対4 ブラジル (ドルトムント)

★楽観的な日本人
 「勝てるだろうかね」。ドルトムントに集まった日本の人たちが、こんな会話をしているのを聞いて、暗い気持ちになった。日本代表のワールドカップは、事実上はオーストラリアに敗れた時点で終わっている。第1戦がすべてだった。この人たちは、この現実を認識した上で、日本対ブラジルの試合で最後のエールを送ろうと来ているのだろうか。表情からは、そうは見えなった。日本が勝つ可能性を現実的なものと楽観的に見ているように見えた。
 テレビは視聴率が下がらないように「勝てる、勝てる」とあおるほかはない。多くの視聴者が、それに影響されて日本のサッカーのレベルを客観的に見ることができないのではないか、と思った。

★冷酷な現実的予想
 ブラジルは、優勝をめざして、少しずつ調子をあげてきている。日本がベスト16に残る希望をつなぐために2点差以上をつけて勝つ可能性は、ほとんどない。海岸の砂浜の中からダイヤモンドを見つけることを期待するようなものである。
 ただ、ブラジルはベスト16進出が決定済みである。また優勝をめざして、まだ仕上がりの途上である。もし日本が最上のコンディションであれば、ある程度の戦いはできるかもしれない。しかし、日本の選手たちは酷暑の中の2試合で疲れ果てている。引き分けを望むのも難しい。ぼくは、そう現実的に考えてドルトムントに来た。
 
★点差はレベルの差
 前半、日本代表は、よく頑張った。守りの中心の宮本が2枚のイエローカード累積で出場停止だったが、ゴールキーパー川口が大当たりで持ちこたえた。中盤では、この日は中田英寿がよく動いていた。そして33分に玉田が先制点を挙げた。ここまでは、ぼくの考えていた以上だった。
 しかし先制もつかの間、前半のロスタイムに同点とされ、後半はブラジルの個人技にいいように、あしらわれて3点を取られた。
 4対1の点差は、疲労や不運のためではなく、両国のサッカー全体のレベル差の反映である。
 中村俊輔や中田英寿の判断力やパスの能力は、ワールドカップのなかでも光っている。個人的にはすぐれた選手がいる。チームとしての組織力も悪くない。しかし、サッカー界全体の厚みが、優勝を争う国とは格段に違う。
 日本の再出発は、そこをしっかり見つめることから始めなければならない。

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