第8部 女子サッカー、戦後再出発から女子世界大会まで
10.北京五輪・女子サッカー競技 (2008)
◆出場チーム
この大会から出場チームが2つ増え、12チームとなりました。UEFA地域を除いてオリンピック予選を地域別に行い、本大会出場チームが決まりました。
(国名後の数字はオリンピック出場回数)
ヨーロッパ(3) |
ドイツ(4)
ノルウェー(3)
スウェーデン(4)
<第5回FIFAワールドカップ上位3チーム。ただしイングランド
はイギリス代表チームの結成がされなかったため除外。同大会グループリーグ敗退のスウェーデンとデンマークでプレイオフを実施。スウェーデンが総得点7対3で勝利>
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南米(2) |
アルゼンチン(1)
ブラジル(2)
<2006スダメリカーノ・フェメニーノ1位のアルゼンチンと2位でガーナとの大陸間プレイオフに勝利したブラジル>
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北中米・
カリブ海(2) |
USA(4)
<プレイオフでコスタリカに3対0で勝利>
カナダ(1)
<プレイオフでメキシコに1対0で勝利>
<中米地区とカリブ海地区で1次予選を突破した3チームに、シードされた北米地区のUSA、メキシコ、カナダを加えた6チームで最終予選を実施。最終予選は2つのグループリーグに分かれ対戦、各グループ上位2チームがプレイオフを行い、本大会出場2チームは決定>
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アジア(2) |
中国(4)(開催国)<予選免除>
日本(3) <Aグループ1位>
北朝鮮(1) <Bグループ1位>
<14の国・地域が予選参加。予備予選は12の国・地域が3グループに分かて行い、各1、2位に日本・北朝鮮を加えた8チームで最終予選を実施。最終予選は、2グループに分かれ、ホームアンドアウェイ方式で行われた>
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アフリカ(1) |
ナイジェリア(3)
<アフリカ最終予選1位>
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オセアニア(1) |
ニュージーランド(1)
<オセアニア予選1位 > |
◆本大会 (2008年8月6日〜8月21日)
◇1次グループリーグ
参加12チームを3グループ(E〜G)に分け、開催国中国、FIFAランキング上位USAとドイツの3カ国がシードされ、各グループに配されました。前回大会と同じく、各グループ上位2チームと、3位チームの中から成績上位の2チームが決勝トーナメントに勝ち進む方式で行われました。下記国名太字が決勝トーナメント進出。(グループA〜Dを男子サッカーで使用のため、女子はE〜Gを使用)
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1位 |
2位 |
3位 |
4位 |
E |
中国 |
スウェーデン |
カナダ |
アルゼンチン |
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ブラジル |
ドイツ |
北朝鮮 |
ナイジェリア |
G |
USA |
ノルウェー |
日本 |
ニュージーランド |
◇日本の戦績
第1戦:対ニュージーランド 2対2
<8月6日 秦皇島>
日本は37分、56分(PK)に失点しましたが、72分宮間あや(PK)、86分には、宮間のFKを澤穂希が右足で合わせて同点とし、2対2で引き分けました。しかし勝ち点3が欲しい試合でした。
第2戦:対USA 0対1
<8月9日 秦皇島>
FIFA世界ランク1位USAのカーリ・ロイドに27分、強烈なミドルシュートを決められ先行されます。その後健闘しましたが0対1で惜敗し、決勝トーナメント進出に黄色信号が点りました。
第3戦:対ノルウェー 5対1
<8月12日 上海>
USAについで強豪ノルウェーとの戦いでした。日本は勝つしかない瀬戸際に立たされていました。しかも27分クヌッツェンに先制点を許してしまう苦しい展開でした。しかし、31分宮間からのクロスに近賀ゆかりが合わせ、同点とし、前半を終えました。 後半は全く違った展開になりました。51分の相手オウンゴール、52分大野忍のドリブルからのシュート、71分に澤、さらに83分には原歩が決め、5対1で快勝しました。
グループリーグ3位は、日本、カナダ、北朝鮮でしたが、勝ち点4の日本とカナダが北朝鮮の勝ち点3を上回り、日本はオリンピック出場4回目で初めて決勝トーナメントへ進みました。
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大会マスコット
「ファンファン」
による
女子サッカーと卓球競技
(2008年6月2日発行・
リヒテンシュタイン) |
◆決勝トーナメント
◇準々決勝 (4試合、全て8月15日開催)
@USA対カナダ 延長2対1
<上海:26,129人>
得点者:USA/12分、ハークルス、101分、カイ
カナダ/30分、シンクレア
Aブラジル対ノルウェー 2対1
<天津:26,174人>
得点者:ブラジル/43分、ダニエラ、57分、マルタ
ノルウェー/83分、ノルドビー(PK)
Bドイツ対スウェーデン 延長2対0
<瀋陽:17,209人>
得点者:ドイツ/105分、ガーレフレケス、
115分、ラウデール
C日本対中国 2対0
<秦皇島:28,459人>
これまで4勝6分け16敗と苦手とする中国との戦いでした。日本の堅守から、15分、宮間あやの左コーナーキックを澤穂希が強烈なヘッドでゴールネットを揺らし、待望の先取点を奪いました。その後も流れを相手に与えることなく、80分には永里優季の試合を決める追加点で快勝。女子世界大会(ワールドカップ、オリンピック)初のベスト4入りを達成しました。
◇準決勝 (2試合とも8月18日開催)
@ブラジル対ドイツ 4対1
<上海:26,976人>
得点者:ブラジル/43分、フォルミガ、
49分・76分 クリスチアーニ、
53分 マルタ
ドイツ/10分、ビルギット・プリンツ
前年(2007)女子ワールドカップ決勝で争った両チームでしたが、ブラジルは先制点を奪われながら、主軸選手達の活躍により、因縁の相手に圧勝し決勝進出を果たしました。
AUSA対日本 4対2
<北京:50,937人>
グループリーグで敗れたUSAとの再戦。15分にCKからのこぼれ球を近賀ゆかりがキック、これをゴール前の大野忍が右足で決め、先制しました。
USAの猛攻が始まり、日本の集中力が切れはじめた41分、オライリーに左から崩され、低いクロスを通され、ゴール前正面からアンジェラ・ハクルズに決められ同点。さらに44分にはロリ・チャラプニーに、右から切り込まれ豪快なシュートを決められ、前半で逆転されてしまいました。後半にもオライリー、ハクルズに得点をゆるし、日本の果敢な挑戦はまたも退けられました。
◇3位決定戦
ドイツ対日本 2対0
<8月21日18:00〜 北京:49,285人>
悲願のメダル獲得めざした日本の対戦相手は、世界ランク2位、前年のワードカップの覇者ドイツでした。
前半20分に宮間あや、続いて近賀ゆかりが放ったシュートは、相手GKアングラーの攻守にはばまれ、澤穂希のジャンピングボレーも相手DFに弾かれましたが、日本のペースで前半を終えました。
後半にドイツが勝負を仕掛けてきました。特に59分に交代出場したファミトレ・バイラマイに振り回されました。69分、身長180cmのカレフレイケスのヘディングシュートをGK福元美穂がはじき、これをバイラマイに決められてしまいました。終盤87分にも再びバイラマイに追加点を奪われ、日本はメダルに届きませんでした。
世界の強豪、ノルウェー、ドイツ、USA(2試合)を含む6試合を日本のスタイルで闘い、オリンピック史上初の4位に到達出来たことは大きな収穫でした。
◇決勝
USA対ブラジル 延長1対0
<8月21日21:00〜 北京:51,612人>
USAは、主砲のアビー・ワンバックをけがで欠き、初戦のノルウェー戦では0対2で敗れましたが、その後、層の厚さで決勝まで勝ち上がってきました。オリンピック初制覇をねらうブラジルも、グループFでドイツと引き分け、1位で突破。準々決勝ノルウェーを2対1、準決勝ドイツを4対1で撃破、5試合を4勝1分、得点11、失点4で決勝に進出してきました。
0対0のまま90分を終え、決着がついたのは、延長前半96分でした。USAのカーリ・ロイドの相手ゴール前20mの位置から左足で放ったシュートはそのままゴールネットに突き刺さりました。
USAが、前年の女子ワールドカップ準決勝で0対4と大敗したブラジルに雪辱を果たすと同時にオリンピック2連覇を達成しました。
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スポーツと体育の国際年/女子サッカー
(2005年10月30日発行・ブラジル)
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