<その4>
★スタジアム
牛木 スタジアムの印象は、どうでしたか
山田 スタジアムではトイレで苦労することが多い。入口と出口が同じで混雑するところがあった。カテゴリー3の高いところの席では、トイレがないところもあった。ずっと下まで降りていかなければならない。
86年大会からW杯観戦
の山田さん
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山田 いちばんいいと思ったのは、ドルトムントのヴェストファーレン・スタジアムです。74年大会のオランダ対ブラジルの会場だったところで、ぜひ行ってみたいと思っていたので、感慨深かった。中央駅からUバーン(地下鉄)で10分、降りてから徒歩3分。スタンドは、ゴール裏がとくにすばらしい。山のようにせり上がっていて見やすい。声援が屋根に反響して盛り上がる。
アクセスが悪いのは、カイザースラウテルンのフリッツ・ヴァルター・スタジアムでした。駅から見えるのだけれど、山の上で、坂を20分も登らなければならない。しかし、スタンドは傾斜がよく、高い場所の席からもよく見えました。
ベルリンのオリンピック・スタジアムは、アクセスはいいけど、1936年のオリンピックのときの陸上競技場で、サッカーを見るにはよくない。陸上競技のトラックのために、ピッチが遠く感じる。柱が邪魔で視界をさえぎられる席もある。
ニュルンベルクも陸上競技のトラックがあるけど、こちらは見やすかった。
シャルケは開閉式の屋根だが、インドアのとき、空気の循環が悪い。中央駅からUバーンで30分とちょっと遠い。スタジアム付近には、何もなくて、早く行っても、することがない。
ライプチッヒは百段の階段があって、登るのがたいへんだった。
☆入場券問題
◆一発で当たった人も
牛木 入場券が高かった、手に入れるのがたいへんだった、と言われていましたが、みなさんは、どのようにして、切符を手に入れましたか?
山内 私はFIFAのサイトの1次販売で当たったので、その後は入場券の問題にあまり関心はなかった。ただ回りの友だちは、みな手に入れていたので、そんなに入手困難だとは思わなかった。はじめからドイツに行くつもりで頑張った人は、だいたい取れていたようです。逆に取りすぎて売るのに苦労している人もいました。前回の日韓大会のときは、手に入れるのが大変だったけど、今回は取れなかったという人は少なかったように思います。
牛木 山内さんが、FIFAのサイトで当てたのは、自分の名前で取ったの?
山内 そうです。たまたま、FIFAのサイトで売り出すことを知って、試しにやってみたら、日本のTSTのカテゴリー3が一発で当たった(笑い)。1人分だけしか申し込まず、それが当たっちゃった。何にも苦労していなくて……スミマセン……(笑い)。
牛木 ネット販売で、家族や友だちの名前を借りまくって申し込んだけど全滅したという話は、たくさん聞いていたけど、一発で当たった人の話ははじめて聞いた。
山内 日本の試合を追って見ることのできるTSTが手に入って日程が決まったので、その前後の試合を見ようと、ネット・オークションを利用しました。これは高くつきました。オランダ対セルビアモンテネグロが4万円、韓国対トーゴが2万円でした。
◆ネットで結構当たった
WEBサイトでチケットが
取れちゃった近藤さん |
近藤 私はビバ!サッカー研究会の掲示板で、ドイツに行く皆さんの書き込みを見ているうちに、とても行きたくなってしまって……。5月の連休明けにFIFAのサイトをのぞいてみたら、まだチケットが残っていたので、ためしに前から興味のあったセルビアモンテネグロ対コートジボワールを申し込んでみたら取れちゃった……という感じ。5次販売だったと思うけど、そのほかにブラジル戦も取って見ようと試みたら、カテゴリー1のオブストラクション・ビュウ(見切り)席だったけど、これも取れてしまった。行ってみたら前の方でとっても見やすい席でした。
山内 サイトにつながったのは何時くらい?
近藤 深夜2時とか3時とかでした。その時期にビバ!サッカー研究会の仲間で、セルビアモンテネグロ対コートジボワールを3枚取ったので、私も含めてビバ仲間で(カテ1が)4枚取れました。ブラジル戦では当日知り合った現地在住の日本人に聞いたら、前前日に取れたという人がいました。
5次販売はバウチャーとパスポート提示による現地発券でしたが、ミュンヘンで入場券を受け取るときは、並ぶこともなく大変スムーズに2戦分とも受け取ることができました。
牛木 フランクフルトのスタジアムの窓口では、ずいぶん並んでいたけどね。
山田 私はオランダのTST5をネットの2次販売で運よく買えました。あとはネット掲示板や知り合いにもらうなどで4枚ほど調達しました。今までの大会と比べてやはりインターネット(販売)は便利だな〜と感じています。
栗山 今回は自分はドイツへ行く気はなかったのだけれど、一応どうやって切符を取るのかと思って、サイトを見ては「今やっているよ〜」とか情報流したりしていました。大体まわりはみんな取れていたみたいで「行けなかった〜」という人はいませんでした。
牛木 みなさんの話を聞いていると、チケットは一般に言われているほど買いにくかったわけではないようですね。
◆ダフ屋
牛木 現地のダフ屋は、どうでしたか?
山田 過去の大会では、現地で一般の人が余っているチケットを売っていることがあったけど、今回は「I Need Ticket」の人はいても「SALE」の人は見かけませんでしたね。インターネットが普及したことと、今回リセールがあったので売っている人がいなくなったのかな〜と思いました。現地で買おうと思っている人間にとってはつらくなっていくな〜という感じがしました。
牛木 ダフ屋は各会場で見かけましたよ。今回シロートが売っているのを見たのは、日本対ブラジル戦のときだな。キックオフ3時間前に、駅で日本人が100ユーロの券を400ユーロで売ろうとしていた。そのとき、クロートのダフ屋は、300ユーロで売っていたので、シロートが400ユーロで売るのは無理だった。この試合は、キックオフのころ、スタジアム周辺では、定価割れの80ユーロまで下がったと聞きました。
ミュンヘンの準決勝のときは、ふつうのドイツ人が、おおぜい、地下鉄の駅の出口で売っていました。帰りの汽車で乗り合わせたメキシコ人は、定価400ユーロの切符を100ユーロで買ったと言っていました。地元のドイツがグループリーグを2位抜けで来たら、ミュンヘンで準決勝をするはずだったので、それをあてこんでいたら、ドイツは1位でドルトムントに行っちゃった。それで、ドイツ人は切符を手放す気になったのでしょう。しかも、ドイツ代表チームは前の日の準決勝で敗退しているから、大会への興味を失ったドイツ人もいたのかもしれない。ミュンヘンの市民は、地元での試合の切符を、クラブなどを通じて優先的に買うチャンスがあったのだと思います。でもドイツが来ないのなら、1試合400ユーロは高いと、売る気になったのじゃないかと推測しました。
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