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◆ビバ!スポーツ時評

サッカー日誌  2006年11月12日(日)

◆無責任なW杯敗因分析(3)◆
(11月8日、協会テクニカルレポート発表)


★豪州戦の敗因は「暑さ」だ
 日本代表チームのワールドカップの成績について、協会の田嶋専務理事は、敗因をコンディショニングの失敗だと説明したが、専門のトレーナーがついているのに、体調調整に大きな狂いが生じることは考えにくい。
 しかし、第1戦に狙いをしぼって調整していても、それが試合ぶり(パーフォーマンス)に結びつかないことはあり得る。力を発揮できないような、他の条件が生じることがあるからである。
 オーストラリアとの試合に関しては、それは6月12日のカイザースラウテルンの猛烈な「暑さ」だった。もちろん、ほかにも、いろいろな条件はあるだろうが、あの試合に関しては「暑さ」が最大の問題だったと、ぼくは考えている。その前までは涼しい日が続いていたのに、突然、熱波が襲った感じだった。
 
★両チームへの影響は同じか?
 田嶋専務理事は「私たちは暑さは言い訳にしない」と話した。しかし、われわれが聞きたいのは「言い訳」ではない。事情をよく知っている当事者の冷静な分析である。
 田嶋専務理事は「暑さは、両チームにとって同じ条件ですから」とも話した。これも、おかしな説明である。同じ条件だのに、なぜ日本のほうに大きな影響があったのか? それが問題だからである。
 試合を見ていて、終盤に日本のほうが先に体力を消耗し尽くしたことは明らかだった。
 なぜ暑さが日本にとって不利に働いたかについて、ぼくの考えは敗戦のすぐあとに書いた。このサイト内でみることができるから、ここには繰り返さない。
 暑さは異例ではあったが、もちろん数日前からは天気予報で分かっていたことだった。そのために、どんな対策をとったか? それでもうまくいかなかったのはなぜか? それが知りたいところである。

★「暑さ」対策失敗の原因は?
 日本代表チームの内部に詳しい専門家に、大会後に話を聞いたことがある。
 日本代表チームのフィジカル面の担当スタッフは、暑さ対策についても十分に研究していたし経験もあった。
 一般的に言うと、対策の基本は前日に何度にも分けて水分をとっておくことである。食事も水分を多くとれるようなメニューにする。
 イングランドのエリクソン監督は、暑い日の試合の前の日に、記者会見で報道陣にもそういうことを説明したそうである。これは英国の新聞で読んだ。
 日本のスタッフも、選手たちに十分に説明して、水分がとれるように準備をしていた。
 しかし「馬を水ぎわに連れて行くことはできても、無理やり水を飲ませることはできない」ということがある。スタッフが準備していても、選手たちがそれを、きちんと利用するかどうかは別の話である。

 

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