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◆ビバ!スポーツ時評

サッカー日誌  2006年11月13日(月)

◆無責任なW杯敗因分析(4)◆
(11月8日、協会テクニカルレポート発表)


★「プロ集団」と水分補給
  ドイツ・ワールドカップでオーストラリアに逆転負けした日は、猛烈な「暑さ」だったが、ぼくの得ている情報では、日本代表チームのスタッフは「暑さ対策」をきちんとしていたという。前日に小刻みに水分を補給しておくなどである。選手たちに説明し、飲み物を用意し、食事も水分を取りやすいものにした。
  ただし選手が、ちゃんと実行したかどうかは定かでない。
  日本の高校チームなら、時間を決めて強制的に水分をとらせるようなこともできるだろう。しかし、いまの日本代表チームは「プロ集団」である。一人前のプロ選手に手取り足取り水を飲ませることができるかどうか。できるにしても適当かどうか。
  個人差もあるのだから、一人一人が、自分で体調を自主的に管理するのが「おとなのやり方」である。スタッフは準備と指導をするのが限度だろう。
 
★選手の自己管理は可能か?
  ジーコ監督は、選手たちを「1人前のプロ選手」として扱う方針だった。フィールド上のプレーだけでなく、日常の生活もそうだった。だから、前日の水分補給にしても、高校生にやらせるような方法は、とらなかっただろうと推測する。
  しかし、日本チームの場合は選手の全部を「1人前のプロ選手」として扱えるかどうか、疑問もある。
  自由行動の日にも自室に閉じこもるだけの者や、ひまさえあれば「ゲーム機」をいじっているような者がいる。そういう話が、大会中にも一部、新聞で報道されていた。それが本当だとすれば、水分補給の自己管理などは、とても無理だろうと思う。
  そうかといって、高校生に対するような統制をして管理しなくてはならないチームでは、ワールドカップは戦えない。
 
★「本当はどうだったのか?」
  誤解を招かないように付け加えておこう。
  私生活の自己管理ができないような選手がいたという一部の新聞報道が本当であると主張しているわけではない。
  ぼくの考えでは、敗因の大きな部分は「暑さ」だが、それはコンディショニングを誤ったからではなく、チームが「暑さ対策」を怠ったからでもない。オーストラリアよりも日本に暑さが大きく影響したのは、主として体格とプレーのスタイルの違いによる。そのことは、大会中に書いた記事で述べてある。
  しかし、われわれは、スポーツ科学の専門家ではないし、チームの内情を知り尽くしているわけでもない。だからこそ「本当はどうだったのか?」についての情報を、事後にでも、サポーターたちのために、できるかぎり提供して欲しいと思うわけである。


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