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◆ビバ!スポーツ時評

サッカー日誌  2006年11月11日(土)

◆無責任なW杯敗因分析(2)◆
(11月8日、協会テクニカルレポート発表)


★フィジカルコーチの責任か?
 「ドイツ・ワールドカップのとき、日本代表チームは、第1戦に体調のピークをもっていくつもりだったが、その2週間前のドイツとの強化試合にピークがきてしまった」。これが日本サッカー協会の「ワールドカップの敗因総括」である。
 「体力的な調整失敗なら、里内フィジカル・コーチの責任ではないか。その人物が、引き続きオシム監督のもとで、同じ仕事を担当しているようでは、しめしがつかないではないか?」 記者からそういう質問が出た。田嶋専務理事は「そんなことは考えたこともなかった」と突っぱねた。
 しかし、ぼくに言わせれば、日本の敗因の一つが体力調整の失敗であれば、フィジカルコーチだけの責任にはとどまらない。
 
★体力調整の失敗ではない
 体力調整がうまくいかなかったとすれば、それは現場の担当者だけの問題ではない。国内リーグも含めて試合が過重にならないようにする日程編成や合宿スケジュールのつくりかたなどが大きく影響する。それは協会の技術委員会の問題ではないのか? 当時の技術委員長だった田嶋専務理事の責任ではないのか? その田嶋専務理事が、他人事のように「体力調整に失敗した」というのは無責任ではないか?
 ただし、ぼくの考えでは、問題は体力コンディショニングの失敗ではない。
 スポーツ医・科学の成果で、現在のトレーニング方法は、十数年前とは比較にならないくらい進歩している。その専門家である現場の担当者が、コンディショニングを2週間も狂わせることは考えられない。
 
★対豪州戦の敗因は何か?
 田嶋専務理事は、体力調整の失敗を「パーフォーマンスによって判断した」という。パーフォーマンスとは、単純にいえば「試合ぶり」である。「試合ぶり」とは技術と戦術能力の発揮である。
 体力的なコンディションがよくても「試合ぶり」がよくないことは、しばしばある。環境条件、たとえば気候やグラウンドの状態、試合の性質、相手チームなどが違うからである。個人とチームのメンタルなコンディションの問題もある。
 そういうわけで、大会前の強化試合(親善試合)と真剣勝負(ワールドカップの第1戦)とのパーフォーマンスの違いの原因を「体力調整」だけに求めるのは見当違いである。 そうであれば、第1戦の対オーストラリアの敗因は何だったのか?

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