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◆ビバ!スポーツ時評

サッカー日誌  2006年11月10日(金)

◆無責任なW杯敗因分析(1)◆
(11月8日、協会テクニカルレポート発表)


★4ヶ月がかりにしてはお粗末
 日本サッカー協会がドイツ・ワールドカップの総括記者会見を11月8日に開いた。協会側は田嶋幸三・専務理事(前技術委員長)と布啓一郎・技術副委員長が出席した。
 田嶋専務理事は「私たちは総括という言葉は使ってない」といっていたが、ここでは、とりあえず「総括」と呼んでおくことにする。というのは、メディア側の関心事は、もっぱら「日本サッカー協会は、ワールドカップでの敗因を、どう総括したのか」に集中していたからである。
 会見での田嶋専務理事の話をきいた感想は「安直で無責任な敗因分析」に尽きる。
 「第1戦の相手のオーストリアは背が高い。それに対する対策を考えていたが、うまくいかなかった」というような話をする。そんなことは敗戦直後に新聞に書いてある。4ヶ月以上かけて分析した結果が、これでは、お粗末である。
 
★第1戦に狙いを定めていたが・・・ 
 聞きたいのは、どういう準備をしたのか、なぜ失敗したのか、その責任をどう考えているか、である。
 日本の試合についての田嶋専務理事の説明のポイントをまとめると次のようになる。
 (1)ブラジルとクロアチアは、日本よりレベルが高く、オーストラリアは日本とほぼ互角であると事前に予測していた。
 (2)第1戦の対オーストラリア(6月12日)が勝負だと考え、そこにコンディションのピークを持っていくように準備していた。
 (3)しかし、大会前、5月30日のドイツとの強化試合(2対2)にコンディションのピークがきてしまった。
 (1)と(2)については正しい。問題は(3)である。
 
★コンディション作りに失敗?
 大会前の強化試合にピークがきてしまった。それが事実なら、大きな敗因は「体調つくりの失敗」ということになる。
 そこで「それならフィジカル・コーチ(里内猛)の責任ではないか」という質問が出た。
 でもプロが周到に準備していて、予定の2週間前にピークが来たなんて本当だろうか?
 そこで、ぼくが質問した。「ドイツ戦でピークが来たという科学的なデータでもあるんですか?」
 田嶋専務理事の答えはこうだった。
 「ありません。パーフォーマンス(試合ぶりなど)を見て判断したのです」
 表面的なプレーぶりや練習ぶりは、その日のお天気や相手やグラウンド状態によって違ってくる。そんなことを材料に敗因を分析できるだろうか。

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