W.未来のなでしこについて
江橋 なでしこジャパンは北京五輪後、どれだけ強くなったのか?僕はあまり見えてこないです。アジアカップも海外組が合流したけれど、3位決定戦は、結局北京五輪の時の戦い方に戻してしまった。
中地 強くなっていると思いますが、メダル獲得となると、そこの壁が大きいと思います。
江橋 日本はFIFAランク4位ですが、上位3強のアメリカ、ドイツ、ブラジルが先頭集団を形成していて、日本は第2集団のトップにいると考えたほうがいいと思います。
砂坂 ランク4位だからメダルに期待できると煽っている記事がありますが、3位以内に入るのはなかなか難しい。
四方 近年では、アジアの中で安定した結果を出していますが、サッカーは何があるか分からないので、例えばNZのように日本よりランキングが下位のチームであっても、決して楽には勝てないと思います。
江橋 実はなでしこジャパンが4位になった北京五輪でも、勝ったのは2試合だけ。ノルウェー戦と中国戦だけだったんですよ。もちろん、その2勝は偶然ではなく、必然の勝利だったのですが。
砂坂 2勝で4位までいけちゃうのも凄いんですが。
江橋 個の力が足りない分を組織で補う、それで4位までいった。しかしこれから上位3強に食い込み、メダルを獲得するためには、個の力。を考えないといけないのでしょうか。
四方 個の力というと、よくフィジカルの話になります。サッカーは最終的には1対1だと思うので、やはりその力をつけていかないと、ここから上に行くのは厳しいと思います。
砂坂 永里選手に話を聞いたら、みんな自分達のことを過小評価しないでやったらいいのにと言ってました。あれだけ背の高いドイツリーグにいても、永里選手は結果を出している。だから自分を過小評価しないで、やっていくことが大事だと思います。
江橋よしのりさん(スポーツライター) |
江橋 永里選手は、90分間相手のディフェンスラインと駆け引きしている。90分間、脅威を与え続けている。それでパッとマーク外した瞬間にボールがくると。それで得点できると言っています。なでしこでもそうしたいのだが、下がって守備しないといけない。多分そこで永里選手は苦しんでいるかなと思います。
中地 海外と違って、日本ではFWから守備が始まると言われています。そう言った意味では、日本のFWは大変だなと思います。
砂坂 日本サッカー協会は、次回のW杯までに優勝すると言っています。実現するためには、個を鍛えることが条件になると思います。それができれば、夢じゃないのかもしれません。
江橋 最後に皆さんから今大会の優勝候補についてうかがいたいです。
中地 開催国のドイツが、かたいかなと思います。
四方 私も開催国ということと、五輪で勝てなかったので、ここはドイツだと思います。
砂坂 私もドイツの3連覇はあると思います。この会場の後ろには、世界の女子サッカーの記念切手やスタンプ(消印)が展示されていますが、そこには既に、ドイツ女子3連覇を想定したスタンプが飾られていますね(客席驚き)。
江橋 え!そうなんですか。じゃ日本も、なでしこ初優勝っていう切手を作っちゃいますか(笑)。僕の優勝候補は、みなさんとカブりたくないので、あえてアメリカと言います。アメリカは科学的トレーニングが進んでいて、その分野の有名な施設には日本人のフィットネスコーチもいるんです。ちなみにその方は2010年ドイツ男子代表に帯同しました。つまり、個の力を伸ばすためのソリューションを持った日本人が、すでにいるということです。そういった知識や経験を、日本サッカー界も結集させたらいいのに、と思うんです。
一同 本日は、ありがとうございました。 |