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ビバ!サッカー研究会 公開シンポジウム
なでしこ!しなやかに、つよく
〜女子サッカーの現在と未来を語る〜 
【2】

V.ドイツ女子ワールドカップについて

江橋  ここからドイツW杯について話を進めていきます、お手元のメンバー表をご覧下さい。中地さん、四方さん、これを見ての印象はどうでしょうか? 30歳代は山郷さんと澤さんだけで、一気に若返った感じです。山郷さんについては?

中地  山郷さんは人としてもプレーヤーとしても最高の方で、信頼も厚いです。

四方  中地が言った通りだと思います。山郷さんがいるだけで3点は防いでいるなと。

中地  メニーナの選手が言っていたのですが、山郷さんのオーラのせいでシュートが打てないと(笑)。

江橋  昨年のアジアカップ3位決定戦、負けたらW杯に出れないという試合。その試合の前日、山郷さんは監督に頼んで練習の前に長い時間かけて円陣を組んでいました。

砂坂  あの姿はとても印象的でした。

江橋  戦術とかではなく、「私達全員で明日勝つんだ」をという気持ちを確かめ合うための円陣だったそうです。チームの精神的支柱だと思いました。

砂坂  近年、正ゴールキーパーではありませんが、その存在感は大きい。

四方  大きいと思います。とても気持ちのある方で、ピッチにでなくてもいつもチーム全体の事を考えている。

砂坂  北京五輪の時、山郷さんは代表に選ばれなかった。でも国際電話でチームメイトと連絡を取り励ましていた。チームにいないのに、存在感があるんですよね。

中地  選手が手のひらにマジックで山郷さんの名前を書いてプレーをしていました。その場にいなくてもあれだけ存在感があるのは凄い選手だと思います。

江橋  逆に最も若手の岩渕選手について。お二人はチームメイトでしたが、どんな人物ですか?。

中地舞
中地舞さん(元なでしこジャパン/ベレーザ)

中地  人物としてはとてもカワイイです(笑)。 気持ちはしっかり持っていて、小さい時から各年代の代表を経験し世界で結果を残している。ドリブルが上手く、凄くアジリティが効いた選手です。重心の低い姿勢から、子犬のように抜き去ります。

江橋  ベレーザでデビューしたのは確か14歳の時ですよね? なでしこカップだったと思います。お二人はDFですが、紅白戦などで対峙した時の印象はどうですか?

四方  速いうえに、あたっても転ばないんです。というか、バランスを崩しても、変な体勢のまま走るんですよ(笑)。 まっすぐ走ってて、あたられて体勢を崩されてもそのまま走るんですよ。

江橋  その岩渕選手もこれからは同世代じゃない、上の年代とガチで戦うことになります。そのあたりの彼女の可能性はどうでしょうか。

中地  逆に大きい選手とか外国の選手とかのほうが、あのドリブルは効くと思います。

四方  今回スタメンとか長い時間戦うとかは難しいかもしれませんが、通用する部分は絶対あると思います。

江橋  あと今回のなでしこには男子同様、海外組が数多く名を連ねています。熊谷がフランクフルトへ夏から移籍するし、阪口は一年間アメリカのアマチュアリーグにいた。澤も宮間もアメリカで2年間やってきた。鮫島が今季からアメリカ、宇津木はフランス、そして安藤はデュイスブルグで契約更新、永里はポツダムで1年目にCL優勝し、2年目の今季はCLのチーム得点王になった。永里選手には先日インタビューしましたが、闘争心満々でした。

四方  彼女は常に闘ってます。彼女は小さな時からストイックでした。

中地  練習が終わってからの筋トレも凄いんですよ。

四方  シュート練習も毎日毎日残ってやっていました。

江橋  だから本人はドイツに行ってから変わったと言われるのが、嫌いらしいです。彼女は日本にいる時から、ずっと頑張ってきたわけですから。

砂坂  精神的にはまた一段上がった感じがします。

四方  精神的には違った域に行った感じですね(笑)。

江橋  男子の長谷部選手もそうですが、ドイツに行った選手はなぜか哲学者っぽくなりますね(笑)。

砂坂  永里選手のBlogを読んでいると、どんどん哲学者っぽくなっていきますよね。

江橋  次は澤選手についてのお話を。彼女は今回で、自身5回目のW杯です。北京五輪が終わった後に  3、4年後に走れるかな。本人は言ってましたが…。

中地  全然大丈夫だと思います。

砂坂  今回の大会組織委員長のシュテフィー・ジョーンズさんは8年前にドイツ代表選手として澤さんと対戦している。彼女は今でも澤さんが現役でいることが素晴らしい、信じられないと言っていました。

江橋  僕が最も注目しているのは、佐々木則夫監督です。チームをとてもいい雰囲気に変えたなと思ってます。重慶の東アジア選手権の試合前、冗談を言って雰囲気を盛り上げたそうです。安藤選手が言っていたのですが、監督が変にかっこつけたりしない気負ったりしないお陰で、私達も気負わずに自分のサッカーに取り組めると。

【3】へ続く

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