#24
近況報告「悪夢のような病気を体験」 (2014/5/4)
★全身が「コンニャク」に
「これで逝っちゃうかな」とは思いませんでしたが、気味の悪い摩訶不思議な病気を体験しました。
4月中旬のある日の午後、いつものように離れの空桶(カラオケ)小屋に籠って装置やマイクの調整、ディスクの点検などやっておりましたら、急に目のまわりが火照って熱があるような感じがしたので、母屋に引き返して風邪薬をのんで横になりましたところ、直ぐ眠り込んだらしく、それから変な夢を夜通し「見ていたのか」「感じていたのか」―。自分の身体全部がまるで「コンニャク」になったみたいに白濁して、静脈も神経も血管も、すべて透けて蠢(うごめい)ていているさまがはっきりと見えて、その動きに合わせるようにピリピリと、あるいはビリビリと痛みが身体中を走りまわるのです。
その後、1週間ぶっとうしで同じ夢を見続けました。眠っていたとも夢をみていたとも思えぬ気味の悪い症状と特異な身体中の痛みに堪えながら苦しみ続けました。
★1週間続いた症状
ほとんど寝たきりで、起き上がろうにもまるで腑抜けになったように、腕にも脚にも力が入らず、どたんと、あるいはへなへなとひっくり返ってしまうのです。
いつだったか「ぎっくり腰」で10日以上も寝込んで、起き上がろうにも、寝返りを打とうにも、身体中の筋肉や節々が激痛に襲われて、身動き出来なかったことがありましたが、こんどのは痛くて身動きが出来ないのではなく、全身から力が抜けてしまって立とうにも座ろうにも全然身体が動いてくれなかったのです。
今になって振り返ってみても、あの全身がスポンジ状態にグニャグニャ、フニャフニャになって透けて見える血管の血の流れに合わせて、全身が痙攣し、たまらない痛さに苦しんだことは、とても幻覚だったとは思えません。
かといって全身が「コンニャク」になって身体の内側がすべて透けて見えたことが現実であった筈もありません。
1週間程経って、まるで嘘みたいに熱がひき、痛さがなくなりました。発熱が突然だったように、熱がひいたのも突然でした。
それでも1週間、うなされ続けた感覚は生々しく思い出されます。あれほどの気味の悪い異常な身体の感覚と絶えることのない苦痛が、単なる悪夢だったとは思えません。
★突然、回復したが・・・
もう熱も平常に下がり、あれほどまでにひどかった全身の痛みも取れました。悪夢でもなく幻覚でもなかったとすれば、一体あれはなんだったのだろうと、狐に化かされたにも似た思いに取り憑かれたままの毎日です。
今まで見たこともなければ考えたこともない不気味な感覚と症状に不安と心配が高まるばかりですので、医者を訪ねて検査して貰ったらと考えながらも、一体何科の医者に行き、どんな説明をしていいものか、まるで見当もつかないので、ためらっているうちに日が過ぎていきます。
食欲が落ち、晩酌も「ああ旨いっ」と思えなくなってしまいましたが、眠気だけは四六時中うとうとして眠くて眠くて仕様のない日が続いています。
夜10時に就寝、夜半に2、3度トイレに立ち、翌日のお昼近くまで眠りっぱなしのこの頃です。前には、こんなことはありませんでした。今はまるで頭が空っぽになったみたいに、何をする気力も意欲もなく、ただボンヤリとした時間を過ごしているだけで、まさにシーラカンス状態です。
あの1週間の苦痛にあえいでいたときには「これで逝っちゃうのかな」とは思わなかったのに、治った今では「いよいよお迎えが近くなったのかな」と思うようになりました。いくら考えても、何度同じ独り言を繰り返しても「なんで俺ってこんなに長生きしてしまったんだろう」という思いしか出て来ませんが、あと2週間で81歳という思いもつかなかった長生きの誕生日がやってきます。
70才を過ぎた頃から自分が長生きできたことを喜んだことはなく、5年前に心臓・肺臓の大手術から奇跡的生還をしたときは、なおのこと長寿を授かったことへの感謝はありませんでした。
ただ「ピンピンコロリ」をひたすらに待ちわびながら生きて来た罰当たりの私に、いよいよ人生のゴールインが81歳という節目になって迫ってきているのかもしれないと、本気になって思わせる奇妙奇天烈で魔訶不可思議な奇病体験でした。
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