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高橋祐幸のブラジル便り・目次
 

高橋祐幸(たかはし ゆうこう)

ブラジル・サンパウロ在住。1933年岩手県生まれ。1960年にブラジルにわたり、日本商社の現地法人(三菱商事)に35年間勤務。退職後ボランティアでトヨタカップ南米代表実行委員を15年間務め、川崎フロンターレ、大宮アルディージャのブラジル代表顧問を約8年間務めた。県立盛岡中学(旧制)で、八重樫茂生(メキシコ五輪銅メダル日本代表キャプテン)と同級生だったことがサッカーに携わる機縁ともなって、日本にもブラジルにも広いサッカーの人脈を持つに至った。


 

 


#17
W杯準備、土壇場で事故続出

 ★約束した期限切れ寸前
  ワールドカップの会場工事が遅れに遅れている矢先、2月7日にまたもやマナオス(アマゾ二ア)球場で、労務者1人が死亡する事故が発生した。
  天井部のクレーン解体時の事故と云うだけで詳細は発表されていないが、マナオス球場の工事では、前年にも労務者3名が事故死しており、またまた原因調査の司直の手が伸びれば工事中断は必定。2月中旬までに完成させるというFIFAへの約束を守ることができるかどうかの土壇場での事故である。
  前年11月に労務者2人が死亡する惨事を起こしたサンパウロ球場は、転倒した超重量クレーンは事故原因調査のために放置されたままだったが やっとのこと撤去作業が2月中旬に始まると発表されているが、これで果してFIFAに約束した4月15日最終引き渡し期限に間に合うかどうかも、危ぶむ声が再びあがっている。
  クリチバ球場の工事遅れは、連邦開発銀行・パラナ州立銀行・クリチバ市役所が緊急追加予算を計上して(大統領がスイスまで出向いてFIFA会長に約束してきたことを守るために)工事を急がせると発表しているものの、これにもFIFAは緊急工程表提出を2月18日と期限を切っており、開催会場から除外される可能性もある緊迫状態である。

★リオでまた暴動発生
  「福祉・教育・保健に廻すべき国家予算を(膨大な汚職も併せて)W杯開催準備に遣いすぎた」という国民の抗議運動が、2年越しで全国的に拡大し、高まり続けているなかで、2月上旬にまたリオで暴動が発生し、取材中のテレビ・カメラマンの頭部に爆発物が命中し、大火傷で重傷と云う事件も起きた。 
  それに反発して市民の抗議活動が、ますます過激になること必定である。
  大会期間中に大騒乱を起こして世界中にアッピールすると予告する過激団体も増えるなど「呪われたW杯」になりかねない様相が濃くなってきて、もう誰にも手の付けられない国難ともいえる状態ではないかと、私には思えるのだが、「それでも何とか間に合わせるのがブラジルさ」とのんびり構えているブラジル人を見ていて、独り危機感を募らせているのは私だけだろうか? 



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