ジュビロ磐田の試合を、続けて見る機会が、たまたまあった。
まず、4月なかばに「スポーツとメディア」についての研究会が大阪であり、その翌日、東京へ帰るついでに磐田に途中下車して試合を見た。
東海道線静岡県磐田駅に降りたのは、うららかな春の日曜日、駅前には人通りがほとんどない。スタジアム行きのバスの停留所に並んでいる人がいるだけである。しかし、シャッターを降ろした商店には大きなジュビロの旗が掲げてある。「外国のような町だ」という気がした。
日曜日には人通りが少ない。地元のチームの試合がある日には、軒先にクラブの旗が出ている。これは欧州の地方都市でよく見た光景である。
バスがスタジアムに近付くにつれて、人通りも旗の数も増えた。民家も軒先やベランダに青い旗を出している。これも試合の日の欧州の地方都市のようだ。
ヤマハのスタジアムは簡素なものである。丘の斜面を利用して大きなバックスタンドを設けてある。観客席に一体感があるのはいい。
ジュビロは3−0の快勝だった。相手が不振の広島だったこともある。またキックオフ22秒に、右からの長いクロスが直接、ゴール右上隅に入るという先制点もあって、若手がのびのびとプレーしたこともある。
2−0で試合が終わりにさしかかったころ、それまでベンチにいた名波浩と中山ゴンが交代出場した。リードに気をよくしているサポーターは大歓声である。
2人を終盤に起用したことについて山本監督は「もう1点とりにいくべきところで、若手にその才覚がなかったので、ベテランにお手本を示してもらった」という意昧の説明をした。その通りにロスタイムに入ってから3点目が入った。しかし、ぼくには「人気のあるスターを登場させて、ファンの期待にこたえた」といったほうが、スタンドの雰囲気には近いように思えた。
次の週末には干葉のサッカー仲間との月例会がフクアリでの試合のあとにあった。そのときのジェフの相手がジュビロだった。磐田からかなりの数のサポーターが来ていた。
フクアリは、ジェフの新しいスタジアムである。京葉線の蘇我駅から歩いて10分、首都圏内の県庁所在地の工場地帯のなかにある。ジェフにも熱心なサポーターはたくさんいるが、磐田の町ぐるみの温かい雰囲気とは、ちょっと違う。「蘇我も磐田のようなサッカーの町に育ってほしいな。磐田は日本のサッカーの未来像の一つのモデルだな」というのがぼくの感想である。
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