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サッカーマガジン 2006年2月28日号
ビバ!サッカー

高度な競技になったフットサル

 フットサルの全日本選手権最終日を見に行った。2月5日、東京の代々木体育館である。レベルが高くなっていて、おもしろかったが、一方でいろいろ考えたこともあった。
 まっさきに考えたのは「フットサルはサッカーか」というテーマである。これはFIFA(国際サッカー連盟)がフットサルを統制するようになった当初からの課題である。
 本来FIFAが取り扱っているのは戸外の11人制のサッカーである。だが、5人あるいは7人ていどの少人数のサッカーもある。これを日本では「ミニサッカー」と呼んでいた。ミニサッカーは11人制のサッカーの練習のためのものだと、ぼくは考えていた。
 ところが、室内サッカーを「独立したスポーツ」として組織した団体がブラシルを中心にできて世界選手権を開催した時期があった。それにFIFAが危機感をもって、少人数のサッカーを公式になわばりに加えることにした。それが「フットサル」誕生のきっかけだったと記憶している。十数年前の話である。
 今回、全日本選手権の試合を見て、フットサルは11人制とは別のスポーツとして成熟し、高度になっていると感じた。
 足でボールを扱い、ゴールに入れる点では、11人制のサッカーと同じである。しかし、バスケットボールやアイスホッケーに似た感覚もある。随時、選手が交代できる。またアウトオブプレーで時間が止まる。それが競技の性格をかなり変えている。
 それはそれで、おもしろい。見るスポーツとして、あるいはテレビ向きのスポーツとして伸びる可能性がある。
 一方で、少人数のゲームは、サッカーのテクニックを伸ばすのに、おおいに役立つ。だから11人制のサッカーのためにもフットサルを普及させたい。
 しかし、全国の多くの子どもたちの試合で反則のカウンターやタイムキーパーを用意するのは難しい。だから、トップレベルのほうは競技スポーツとして運営するにしても、底辺にはルールを厳しく強制しないで、遊びとして自由にやらせるのがいい。
 閉会式で表彰状を読み上げたのは日本サッカー協会の川淵三郎会長だった。協会のもとに、競技を主管する日本フットサル連盟があるが、連盟役員の名前はプログラムにも載っていなかった。
 競技として高度化したフットサルの運営を今後どうするのか。子どもたちへの普及との関係をどう考えるのか。これは協会と連盟の両方の課題だろう。
 もう少し話をきいてまわろうと思っている。


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