アーカイブス・ヘッダー

 

   
サッカーマガジン 2006年2月14日号
ビバ!サッカー

インターネット時代のサッカー

 私事にわたって恐縮しないのが、長年のこのコラムの特徴である。
 私こと、加古川市の兵庫大学を退職することとなり、さる1月18日に「最終講義」なるものを行ないました…。
 大学の退職最終講義は特別に行なうものらしいのだが、それでは大げさすぎるので、通常の授業の最後の講義を公開することで勘弁してもらった。でも、ウイークデーにもかかわらず東京からわざわざ野次馬で応援聴講に来てくれたビバ!サッカー仲間もいて、いや、なかなか楽しかった。ご協力くださったみなさん、ありがとうございました。
 兵庫大学は開学以来、11年になる。ぼくにとっては「ちょうど」で区切りがいい。このイレブン・イヤーズの間に大きな変化が二つあった。
 第一はサッカーブーム。Jリーグができ、キャンパス内にある附属幼稚園でも園児たちがボールを蹴っている。
 第二はインターネットの急成長。経済情報学部として全学生にノート型パソコンを持たせることを売り物に開学したが、いまは小学生でもパソコンをいじる。
 そこで最終講義は「インターネット時代のジャーナリズム」をテーマにした。
 「インターネット時代のサッカー」としたいところだが、授業科目が「ジャーナリズム」だったので止むを得ない。
 インターネット時代になって分野別の個別の情報は簡便に詳しく知ることができるようになった。その反面、世の中全体を広く見渡して総合的に考えることが少なくなったのではないか。最終講義のなかでそういう趣旨の話もした。
 サッカーについてもそうだ。
 ワールドカップの焦点は日本代表チームだけだと思っている向きがある。イタリアのセリエAについては、やみくもに詳しい人がいる。ヴィッセル神戸以外は見向きもしないサポーターもいる。そういうホームページあるいはブログがインターネットにあふれている。
 しかし、好みの部門を「検索」するだけでなく、広く多様な分野を「一覧」することも必要ではないか。
 ワールドカップは、世界のサッカーを「一覧」するいい機会である。日本代表を応援するだけでなく、各国のサッカーと、その背景になっている文化を楽しみながら見てみたい。
 そこで4月2日(日)に「世界のサッカーとその文化」をテーマに東京でシンポジウムをやろうと、ビバ!サッカーの仲間で計画している。詳しくは、改めてこのコラムでもご案内するつもりだ。
  ただし、これはぼくの「最終イベント」ではない。次のイレブンのためのキックオフのつもりなんだけど…。


前の記事へ戻る
アーカイブス目次へ

コピーライツ