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サッカーマガジン 2006年1月10日号
ビバ!サッカー

サッカー大賞をジーコ監督に!

 ワールドカップの年を迎え恒例の「日本サッカー大賞」を発表する。
 この表彰はいかなる権威にも屈することなく、いかなる雑音にも影響されることなく、ビバ!サッカーの独断と偏見によって選考するものである。トロフィーも賞金もなく、ただ誌上に発表するだけであるが、日本のサッカーの重要なできごとを正しく評価し、それを記録に残してきたことは、これまでの毎年の表彰記録を振り返れば明らかである。
 ジャジャーン!
 「ビバ!サッカーの表彰する2005年の日本サッカー大賞は、代表チームをドイツのワールドカップ決勝大会に導いたジーコ監督に決定いたしまーす!」
 日本がワールドカップ決勝大会に進出したことは、歴史に大きく書き残すべきできごとだった。そのことに異存のある人は少ないだろう。しかし、その功績をジーコ監督に帰することには、反対の考えも多いかもしれない。アジア予選の一つ一つをみれば、はらはらさせられる危なっかしい試合ばかりだった。そのたびにジーコ批判の声が、あちこちから起きていた。でも「終わり良ければ、すべて良し」だ。ジーコは「ドイツへ行く」という課題を達成した。
 結果だけでジーコを評価しているわけではない。日本代表チームの編成に、これまでとは違う考え方を持ち込んだことを評価したい。
 素材を集め、育て、鍛え、単独チームとしてまとめ上げる。これが日本のチーム作りの、これまでの考え方だった。
 ジーコのやり方は違った。いい選手を選び、試合をさせ、それぞれの個性がぶつかり合いながらチームとして機能するように持っていった。
 そのために「どんなサッカーをさせようとしているのか見えない」「欧州組ばかり使わずに国内組を育てろ」といったたぐいの批判が相次いだ。そういう批判を受け流し、チームが自然に育つように試合を重ねていったのは、ブラジル式の「セレソン編成法」だったのだろう。そういう異文化の風が吹き込んだことは日本のサッカーの将来に役立つと思う。
 殊勲賞には、ヴァンフォーレ甲府のフロント・スタッフを選ぶ。恵まれない環境を克服してJ1昇格を達成した。
 敢闘賞は、J1で優勝したガンバ大阪の育成部門に贈る。クラブのユースから日本代表になる選手を次つぎに出した。
 技能賞として、ナビスコカップで優勝したジェフユナイテッドのオシム監督を表彰する。前年は敢闘賞に選んでいるが、さらに殊勲賞、大賞も獲得して「ビバ!サッカー4冠」を達成するまで日本で頑張ってほしいと思う。


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