いよいよワールドカップの年だ。12月8日に行なわれたドイツ大会の組み合わせ抽選については、新聞でも雑誌でもテレビでも論じ尽くされているけれども、わがビバ!サッカーも遅ればせながら、意見を歴史に残すために、ここに記録しておくことにする。
「ブラジルと同じ組になったのは最高だ」というのが、ぼくの意見である。なぜならブラジルはいま、世界でもっともいいチームであり、ドイツ大会の最有力優勝候補であり、南米の名門中の名門だからである。こういうチームと真剣勝負ができる機会はめったにない。
抽選の前から、ぼくは友人たちに「ブラジルの組に入るのがいいよ」と言っていた。友人たちは「強力なチームと同じ組に入ると決勝トーナメントに進出がむずかしくなる」と心配した。
しかし、どの組にも有力チームが一つずつはシードされて入る。だから強力チームとの対戦を避けることはできない。どうせ強敵とあたるならブラジルがいいと思う。
ブラジルのような優勝候補は決勝戦を視野に入れている。1カ月余にわたる大会を見通して準備をし、チームの調子を準決勝あたりで最高にもっていくように調整する。1回戦で負けても準々決勝で負けても国民から非難されるのは同じ。決勝戦に進出しなければ話にならない。
南米のチームは、主力のほとんどが欧州のクラブでプレーしているから、一つのチームとして長期間の準備をする余裕がない。大会を戦いながら、じょじょに仕上げていかなければならない。
それに、1次リーグのときから全力で飛ばして手の内をさらすのも得策ではない。他の優勝候補が偵察しているからである。
というわけで、優勝候補は1次リーグでは、まだ調子が出ないものである。とくに南米のチームはそうである。優勝候補が1次リーグの初戦で引き分けたり、負けたりした例は過去にいくつもある。それでも1つの組から2チームが上に行けるから結局は優勝を争うことになる。
一方、他のチームはワールドカップのひのき舞台で「まず1勝」することが目標である。だから第1戦にチーム力のピークを持ってくるように準備する。ここは全力でぶつかって金星をあげるチャンスである。
これは十年一日の、ではない終始一貫した、むかしからのぼくの持論である。今回は、挑戦者の立場に日本がきた。これはすばらしい。できれば第1戦で当たりたかったと思うが、第3戦でもいい。ジーコ・ジャパンは挑戦者として「まず1勝」をめざしてもらいたい。
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