東京都の石原慎太郎知事が、2016年の夏季オリンピック大会招致に動きだしている。次回のオリンピックは3年後の北京、その4年後はロンドン、その次つまり11年後に東京に持って来ようという夢である。
東京都の内部では、開催のための基本計画がすでに練られているらしい。10月28日付けの読売新聞夕刊(東京本社版)の1面トップに大きく報道されていた。
それによると、JR山手線の原宿駅近く明治押宮に隣接する代々木公園に開会式や陸上競技に使うメーン・スタジアムを建設する。10万人収容だという。
現在の国立競技場は壊してサッカーの主会場に建て直す。こちらは7万人収容である。神宮外苑から代々木公園にかけて二つの巨大スタジアムが並ぶわけだ。
現在の国立競技場は、1958年第3回アジア競技大会を開催したときに建設したもので、オリンピック招致を視野に入れていた。 1964年の東京オリンピックのときにバックスタンドの上部にスタンドを継ぎ足して現在の形になった。築後半世紀近くたって全体にかなり老朽化している。観客席とフィールドの間が遠くてサッカーは見にくい。そろそろ建て直す時期ではある。
これが、サッカーの見やすい専用スタジアムになるのなら「いいな」と思う。Jリーグ発足後、サッカーはかなりの観客を集めるようになったから、首都の中心に世界に誇ることのできるサッカー・スタジアムができればすばらしい。IT時代にふさわしい最新のサッカー情報発信スタジアムにしてほしい。
でも…と考えた。
あの貴重な都心の緑の森にブルドーザーを入れて、もう一つ巨大なスタジアムを並べるのはどうか。環境破壊そのものではないか。それに10万人収容の陸上競技場を、そのあと、どのように活用するつもりだろうか?
代々木公園には水泳プールや選手村も作る。一帯の再開発費は1兆円を見込んでいるという。そんなにお金をかけてスポーツのための再開発をするのがいいのだろうか? 都心再開発は都民が快適な環境で暮らせるために計画すべきで、オリンピックを口実にする必要はない。
「国立競技場の建て直しはいいがオリンピックは要らないかも」と、サッカーだけに都合のいいことを考えた。
以上は、読売新聞の夕刊に掲載された記事だけを根拠にしての話である。実際には、まだ、いろいろな案の検討がはじまったばかりだろう。
いまのうちから「2度目の東京オリンピック、どうよ」と多くの人の意見を聴いておくのがいいのではないか。
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