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サッカーマガジン 2005年11月15日号
ビバ!サッカー

千葉ロッテの広報戦略に学べ

 プロ野球で千葉ロッテマリーンズが日本一になった。これでジェフユナイテッド市原・千葉が、もうちょっと踏ん張ったら、千葉は日本の地域スポーツの一つのモデルになるのではないか。
 マリーンズが圧倒的な強さで阪神タイガースに4連勝したのにも驚いたが、もっと感心したのは、かつてはパッとしなかったパ・リーグの球団が、がっちりと地元のファンを拡大し、確保していることである。優勝を決めたのは甲子園だったが、地元の千葉でもファンがお祭り騒ぎで喜んだらしい。
 日本シリーズが始まる前の晩に、千葉のサッカー仲間たちの会があった。よみうり・日本テレビ文化センターの「ビバ!サッカー講座」を以前に船橋でもやっていたことがある。そのときのメンバーが月に1回集まって、わいわいがやがやサッカーの話をすることにしている。その定例会である。大部分はジェフの熱心なサポーターだ。
 仲間の一人が言った。 
 「あしたは午後3時からフクアリでジェフを応援して、夜はマリンスタジアムへ行きたかったんだけどね。日本シリーズのほうの切符はとれなかったよ」
 Jリーグができる前からのサッカーファンである。それが地元のチームとしてプロ野球も応援するようになっている。 
 「これはマリーンズの広報戦略の成果だな」と思った。マリーンズは企業である「ロッテ」の球団としてよりも、千葉の「地域」のチームとして広報に力を入れている。 
 「その点でジェフの広報はどうなんだろうか?」と疑問が頭を持ち上げた。
 というのは、前の週に蘇我のスタジアムでの第1戦にいったときに見たリーフレットを思い出したからである。
 「ジェフ・ユナイテッド・オフイシヤル・プログラム・マガジン」と英文で表紙に書いてある。オシム監督のインタビューのほかは日本サッカー協会会長、Jリーグ・チェアマン、千葉市長のあいさつなど、ありきたりの内容である。8ページのうち広告が2ページ以上。フクアリ開幕記念に無料で配ったのかと思ったら定価200円だった。
 いろいろ事情はあっただろうが、せっかく新スタジアムに1万7千のお客さんを集めることができたのだから、この人たちに、また来てもらうためのアイデアが欲しかった。この機会に8ページ200円で稼ごうと思ったのなら、あざとい。
 地元の人びとがフクアリに定着するようにジェフも広報の方針を確立し戦略を練ってほしい。マリーンズの成功に学んで、サッカーと野球がともに地域のスポーツを盛り上げたらすばらしいと思う。


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