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サッカーマガジン 2005年10月25日号
ビバ!サッカー

関西のサッカー熱はいま一つ

 「関西のサッカー熱は、いま一つものたりない」とぼくは感じている。Jリーグでガンバ大阪が初優勝への望みをふくらませ、セレッソ大阪も上位でがんばっているにもかかわらずである。
 加古川市にある兵庫大学で教員をしているが、先日、こんなことがあった。
 月曜日の10月3日、健康科学部健康システム学科という小規模なクラスで「スポーツ・メディア論」の授業をしたときである。
 「けさの新聞に載っていたスポーツ・ニュースのなかで、大きなできごとだと思ったものをあげてみよう」と学生に質問した。
 まっ先にあがったのは「阪神タイガース今岡、146打点の球団タイ記録」だった。続いて「ゴルフ日本女子オープンで宮里藍が史上最年少優勝」、「米大リーグで松井のヤンキースが地区優勝」、「ヤクルトの青木がセリーグ・タイの192安打」。ここまでは前日の日曜日のできごとである。そして「きょう高校生ドラフト」と、ニュースではない「予告編」の記事まで出てきたが、サッカーのニュースはついに思い出してもらえなかった。
 この日の朝刊にはサッカーの記事も大きく掲載されていた。Jリーグでトップのガンバ大阪が清水に3対1で勝って2位鹿島を引き離した。セレッソ大阪は浦和を3対1で破って3位に浮上した。森島寛がJの100ゴール目をあげた。ガンバはアウェーの試合だったが、セレッソは地元の長居競技場に2万3千人を超える大観衆を集めた。にもかかわらず関心度は低い。
 受講者の一部は養護など福祉関係をめざす学生で主として女性だが、他の多くはトレーニングの理論と実際などを勉強しているスポーツ系である。サッカーをやってきた者は何人もいる。野球少年だった者はほとんどいない。
 それでも、プロ野球の阪神タイガースへの関心は断トツで、Jリーグは忘れられている。なぜだろうか。
 思うに、関西では、阪神タイガースは社会的関心事なのである。今期優勝したからではない。「ダメ虎」といわれていたときも、人気は根強かった。
 Jリーグでは地域のチームを中心に堅固なサポーターの「かたまり」はできてきた。しかし人気の広がりはまだ狭い。しかも自分でボールを蹴っている若者たちにも注目してもらえないでいる。
 地域のサポーター、プレーをしている少年たち、広く社会の多くの人たち。これが三位一体となって盛り上がってこそ本物だろう。「ガンバが優勝すればそうなるかな」と想像してはいるが…。


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