ヴェルディのアルディレス監督解任はちょっとショックだった。解任が不当だというつもりはない。ショックだったのはヴェルディにも、アルディレスにも、ぼくは特別な思いがあるからである。
東京の読売新聞のスポーツ記者だったころ、1969年の読売サッカークラブ創設にかかわった。それが現在のヴェルディになっているので、このクラブにはとくに関心がある。
アルディレスに注目したのは1978年のワールドカップ・アルゼンチン大会を取材に行ったときである。この大会のレポートとして「サッカー、世界のプレー、80年代の技術と戦術」という本を出し、その中で優勝した地元アルゼンチンの試合ぶりを「ひたむきのサッカー」と表現した。その「ひたむきのサッカー」の代表がアルディレスだった。その後、イングランドに行き、日本へ来て清水エスパルス、横浜マリノスの指揮を執るようになったのを、ずっと関心をもって見守ってきた。
アルディレスがヴェルディの監督になったとき、ぼくの二つの関心が一つになったので、おおいに期待した。それが、みじめな結末になったのが残念だ。
天皇杯で優勝したところまでは、よかったのだが、今季は思いのほかの成績低迷である。17節を終わって3勝7引き分け7敗。フロントあるいはサポーターの気が短くなるのも無理はない。
解任を決定的にしたのは、2試合連続の7失点だろう。第13節(7月2日)にアウェーでガンバ大阪に1対7。第14節(7月6日)に国立競技場のホームゲームで浦和レッズに0対7。これでは「チーム内に、あるいはクラブ内に、なにかあるな」と思われても仕方がない。
実力が接近していても、時として大差になることはある。たとえば勝ち抜き戦の場合である。負けたらおしまいだからリードされると捨て身の反撃に出る。その裏側をつかれて、ますます差が広がったりする。
しかし、今回のヴェルディの場合は長期のリーグ戦のなかの試合だから、絶望的な反撃に出る必要はなかった。にもかかわらず大差の負けが2試合も続いたのは異常だった。
成績不振で監督が責任をとらされるのは、よくある。でも、ぼくの長年の取材経験からいうと、異常事態の敗戦は監督だけが原因ではないことが多い。フロントの補強方針の誤り、選手との、あるいは選手同士の、行き違いからの不協和音などが、からんでいて、それがあとになってわかったりする。
ヴェルディの2試合連続7失点の原因はなんだったのだろうか?
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