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サッカーマガジン 2005年7月26日号
ビバ!サッカー

鳥栖のクラブを育てるには?

 佐賀県の鳥栖に行ってきた。
 J2のサガン鳥栖を見るために。
 そして、地方の中小都市でスポーツをどう育てるかを考えるために。 
 一つの結論はこうである。
 サッカーのサガン鳥栖は立ち直りつつある。チームとしては、あと一歩でトップクラスになれる。
 もう一つの結論は、とっぴに聞こえるかもしれないが「公園」と「クラブ」を分けることである。
 サガン鳥栖は施設に恵まれている。練習に使わせてもらえるグラウンドが6面もある。自治体の持つ施設だが、いずれもきれいな緑の芝で覆われている。
 スタジアムもすばらしい。スタンドを支える鉄骨むきだしのスタンドのデザインが簡素で美しい。スタンドは急傾斜でフィールドが近く見える。水戸との試合に1万人以上のお客さんが入っていた。
 チームは松本育夫監督のもとで再建途上である。若い選手ばかりなので、日本代表を経験したクラスの30歳前後のベテランを1人加えれば、さらに一皮むけるだろうと思った。
 試合を見た翌日、鳥栖市内の練習グラウンドをタクシーで見て回った。
 一カ所は、陸上競技場などを中心とする、いわゆる「運動公園」である。陸上競技場では小学生の競技会が終わったところだった。体育館では空手の大会をやっていた。もう一カ所、別の場所のサッカー・グラウンドでは中学生くらいの少年たちの試合をしていた。
 多くの人たちに利用されているのはいい。それでも芝生がきれいに維持されているのもいい。それをプロチームの練習に快く提供しているのがいい。
 だが、これらは基本的には「市民の公園施設」であって、市民は誰でも自由に申し込んで使えるようになっている。日本の都市にある施設は、たいてい、こういう組織である。
 「でも、これはクラブじゃない」と、思った。市民が自由に散歩できる公園とスポーツをするためのクラブは、性質が違う。施設とメンバー(会員)が一つになった組織がクラブである。
 陸上競技も、サッカーも、空手も同じクラブのメンバーで、それぞれの試合をお互いに応援にいくような組織にできないものかと思った。
 実は鳥栖で「佐賀県フットボール・カンファレンス」という指導者のための講演会があって、それも聴きにいったのだが、欧州や南米のクラブの具体的事例を紹介して地方都市のスポーツの在り方を考えるような話は出なかった。
 次回には、ぜひ、そういう企画をたてていただきたいと思った。


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