ドイツで行なわれたコンフェデレーションズカップで日本は1勝1引き分け1敗、準決勝へ進めなかった。でも、よかったな、いろいろな収穫があったなと、ぼくは思っている。
第一の収穫は、世界のトップレベルの国のチームを相手に互角に取り組めたことである。
出場した国は、コンフェデレーションズカップにベストの状態で臨んだわけではない。目標は翌年のワールドカップである。だから今大会の結果で来年を占うことはできないが、それにしても、いや、それだからこそ、チームとして勝つために完全にまとめあげられる前の基礎の能力の生の姿を見ることができたのはよかった。ブラジルの選手は、個人のテクニックと戦術能力をのびのびと見せ、メキシコの選手は個人の勝負強さを発揮した。こういう個人のよさを1年後にチームとして、どうまとめてくるか。それがワールドカップの見どころだ。
日本もアジア予選を終えたばかりで選手たちは疲れていたに違いない。心理的にも、ほっと一息入れたいところだっただろう。ベストの状態でないのはお互いさまだ。それでも欧州チャンピオンや世界チャンピオンに、互角以上の試合をしたのだから、これはいい経験だった。
収穫の第二は、中村俊輔と中田ヒデが両立して活躍したことだ。この中盤のタレント2人を並べて使うのは2002年の日韓ワールドカップの前にトルシエ監督が試みて、結局大会直前に断念した問題である。ジーコ監督もアジア予選を通じて試行錯誤を続けてきた。
しかし、今回のコンフェデレーションズカップでは、俊輔と小笠原を中盤の前のほうに置き、ヒデを下げて、福西とともにボランチとして使って成功した。そのために、アジア予選で選手たちの要望で採用した3バックをやめて、ジーコ好みの4バックにした。これも、うまく機能したようだ。
3−5−2がいいか、4−4−2がいいか、どちらが日本の選手たちに向いているか、といったたぐいの「システム論争」がサポーターの間でも蒸し返されていた。でも、時と場合、こちらの手駒と相手によって、どんなシステムでも使いこなせることがわかり「システム・アレルギー」が解消したのだとすれば、これは第三の収穫である。
今回のコンフェデレーションズカップ日本代表のメンバーが、そのまま1年後に残っているかどうかは分からない。ケガによる変更もあるだろうし、新人の台頭もあってほしい。それでも、今回の三つの収穫は、なんらかの形で来年に生きてくるだろうと思う。
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