日本代表チームが、ドイツ行きの切符を確保したら、新聞は「ジーコ礼賛」一色になった。1年あまり前にジーコ叩きを展開したのは、誰だったのだろうか?
でも、本来なら「ジーコ批判」を展開するなら、いまではないか。
ジーコに代表チームを預けたときの目標は、まずワールドカップ・アジア予選を突破することだった。予選が始まったばかりの昨年2月〜3月に、監督のすげ替えを論じたのは現実的な考えではなかった。
第一の目標を達成したいまは、事情が違う。ジーコ監督の仕事ぶりを検討して1年後のドイツ大会も任せるかどうかを考えてみるチャンスである。
ぼくが北千住の文化センターでやっている「ビバ!サッカー講座」で日本代表のワールドカップ予選突破をテーマに400字の作文を書いてもらった。そのなかに「ジーコ、ありがとう、そして、さようなら」と題をつけたものがあった。
予選突破後の記者会見で、ヒデが「このチームのままでは、ドイツでは勝てない」と話した。そうであれば、これからの1年間にチームを作リ直さなければならない。ジーコは選手たちをコーディネートして予選を突破した。出場権を確保してくれたことには日本のサポーターとして感謝している。しかし本番で勝つためには、勝利に引っ張っていけるビジョンのある監督に変えたほうがいい。そういう趣旨である。
「後任にはオシム監督を推す」と、ちゃんとオチもつけてあった。
こういう意見を気兼ねなく出し合うには、いまの時期がいい。目前に重要な試合を抱えているわけではないからである。
とはいえ、おおかたは「ジーコ留任」で固まっていて、そのうえで、いろいろな意見が出ている。
メンバーを固めて強力にまとめたチームに鍛えるべきだという人もいる。積極的に若手を加えてドイツ大会後にもつながるチームに育てようという論もある。
ぼく自身の意見は「ジーコありがとう、今後もよろしく」である。つまり、1年後のドイツ大会もジーコに任せ、いままでよりも、もっと自由にやらせたい。
「ジーコで勝てる」という意見ではない。
いまの日本のサッカーのレベルでは、誰が監督であっても、ドイツで1勝をあげるのも容易ではない。しかし、日本のサッカーの将来のためには、ジーコのやり方を続けるのがいい。
そのとき、そのときの時点で、もっともいいと思われる選手を起用し、一人ひとりの才能を自由に発揮させて組み合わせる。そういうやり方に、日本のサッカー界が慣れることが重要である。
目標は本番でまず1勝すること。若手の育成はジーコの仕事ではない。
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