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サッカーマガジン 2005年3月22日号
ビバ!サッカー

正道に戻ったJリーグ

 Jリーグが1シーズン制になった。長丁場で、おもしろい試合が次つぎに展開されるのを楽しみたい。
 サッカーのリーグは、欧米の多くの国がそうであるように、ホーム・アンド・アウェーの2試合制がいい。ぼくは、かねがね、そう考えていたから、日本もようやく本来の道に戻ったと喜んでいる。
 これまでの2シーズン制や、プロ野球がやっているような2リーグ制にも、利点はある。優勝争いのヤマ場を何度も作って興行を盛り上げることができることである。
 しかし、これはサッカーの考え方には合わないと思う。地域に根ざしたクラブによってリーグの試合をするのが、世界のサッカーのやり方であり、Jリーグの埋念である。優勝争いのためのプレーオフは、出場チームあるいはリーグ運営者の利益にはなっても、他の地域のクラブにはあまり関係がない。地域のクラブがそれぞれの地域に支えられて試合をするのであれば、シーズンを通しての一つひとつのホームの試合を大事にして運営し楽しんでもらうのが正道ではないか。
 J1のチーム数が18になったのも、いい。
 チーム数については、1年間52週のうちの、どのくらいをサッカーのシーズンに宛てるかを、まず考えなくてはならない。かりに3分の2をあてるとすれば、シーズンは34週くらいとなる。リーグの試合を1週1試合とすれば、ホームでは17試合になる。つまり、リーグを構成するのは18チームが適当となる。
 年に17試合の入場料収入では、クラブが運営できないというかもしれない。しかし、サッカーリーグの原点は「試合」であって「興行」ではない。17試合しかできないのであれば、17試合で成り立つような「リーグの在り方」を考えなければならない。欧州や南米の多くのクラブのように、パートタイムのプロ選手を多くすることなどである。
 これは「たとえば」の話であって、現実には、いろいろ難しい問題があるだろう。でも、世界のサッカーの考え方の原点に立ち返って考えてみることは必要だろうと思う。
 このような考え方は、プロ野球では難しい。プロ野球の閉ざされた業界で収益をあげることが第一だからである。プロ野球は「興行」を原点として成り立っている。野球の世界でも改革がスタートしているが、道は険しいだろう。
 Jリーグは、J1が18チーム・1リーグになって本道に戻った。これからが正念場、Jリーグ第2期のはじまりだと思う。正道を外れないように考えながら、さらに改革を進めてもらいたい。


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