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サッカーマガジン 2005年2月22日号
ビバ!サッカー

小笠原は本物になれるか?

 本当に小笠原でいけるんだろうか?ワールドカップ・アジア最終予選をひかえて、ぼくはちょっと首をかしげた。
 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)との第1戦(2月9日・埼玉)を前に、日本代表チームは2試合のウオーミングアップ・ゲームをした。この2試合で小笠原満男は攻撃の組み立て役を勤めた。その小笠原への一部のマスコミの評価が高すぎるように思ったからである。
 いわゆる国内組だけで戦った2試合で日本代表の仕上がりはよかった。一人一人の選手たちのプレーが積極的だったし。チームとしてのまとまりもよかった。この勢いを保って、海外に出ている選手たちに頼らずに北朝鮮との試合にのぞみたい、とジーコ監督が考えたのは正解だと思う。
 ただし、小笠原のポジションだけは、問題である。ここは、イタリアのレッジーナから呼び戻した中村俊輔を使うことを考えたいからである。
 小笠原への不安は「プレッシャーに耐えられるかどうか」にある。
 プレッシャーには2種類ある。一つは相手から厳しいプレスによるマークを受けた場合に自分の力を発揮できるかどうかである。もう一つは、重要な試合で中心選手としてプレーするときの心理的な重圧に耐えられるかどうかである。
 小笠原は、1月29日のカザフスタンとの試合では得点にからむいいパスを出した。2月2日のシリアとの試合では、みごとなシュートで1点をあげた。
 結果だけをみればマスコミに持ち上げられてもおかしくない活躍だが「ちょっと待って」という要素もある。 
 カザフスタン戦では相手の守りが厳しくなかった。シリア戦のゴールは2点リードし相手は退場で10人になったあとの試合終了間際だった。プレッシャーのない状況での活躍なのである。ウォーミングアップ・ゲームだから、もちろん心理的重圧のかかる試合ではない。
 その点では、中村俊輔には十分な実績がある。厳しい欧州のサッカーでもまれている。前年、中国で開かれたアジアカップでは、さまざまなプレッシャーを乗り越えてチームを優勝に導いている。
 というわけで、実績でも技量でも、小笠原はまだ俊輔には及ばない。だからウォーミングアップの2試合で、一部のマスコミが小笠原をヒーロー扱いにしたのを疑問に思ったのだった。
 ただし今回、俊輔が日本代表に合流するのは試合前日である。体調がピンとしているはずはない。小笠原には、実力を示すチャンスである。
 ここでプレッシャーをはね返す力をみせれば、小笠原もようやく本物である。


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