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サッカーマガジン 2005年2月1日号
ビバ!サッカー

神戸で視覚障害者サッカー大会

 目の不自由な人たち、いや まったく目の見えない人たちもサッカーを楽しめることを、ご存じだろうか。中に鈴の入ったボールを使って、音でボールの位置を知りながらプレーする。
 その視覚障害者サッカーの日本選手権が、1月22日(土)と23日(日)に神戸ウイングスタジアムのフットサル・コートで開かれる。それを聞いて東京のぼくの仲間たちが「よし、行ってみようじゃないか」ということになった。
 ただ見るだけじゃなくて、なにかお役に立てることはないかと、大会初日の試合が終わったあと、午後5時からウイングスタジアムの会議室で、ささやかな催しを開くことにした。視覚障害者サッカー協会の会長をしている釜本美佐子さん(メキシコ五輪の得点王、釜本邦茂さんのお姉さん)と、サッカーマガジンでおなじみのスポーツ・ジャーナリストの長老、賀川浩さんが講演をしてくださることになった。釜本さんから視覚障害者のサッカーの解説を聴き、賀川さんから世界トップレベルのサッカーの話をうかがって、2種類のサッカーの接点を考えようというねらいである。
 そもそもの始まりは、こうである。東京の北千住でやっているビバ!サッカー講座では毎回、日本に来ている外国人を招いて話を聴いている。11月にアフリカのスーダンの人を招いたら、その方が「ブラインド・フットボール」の選手で、釜本さんが付き添ってこられた。
 「子どものころからサッカーに熱中していて、目の病気が進行したとき、目が見えなくなることよりも、もうサッカーができなくなるのかと悲しくなった」という。日本では盲人がマッサージの勉強をできるときいて留学してきて視覚障害者のサッカーに出会った。「それで、ぱっと心が明るくなった」という。
 ぼくの仲間たちは翌日、関東の大会を見にいって「いや、すばらしい。あれこそイマジネーションのサッカーだ」と感動して帰ってきた。ゴールキーパーだけが健常者または弱視の人で、声を出して教えることができる。フィールド・プレーヤーは、障害の程度に差があると不公平になるので目をマスクで覆う。音だけが頼りだから、ゆっくりとプレーするのかと思ったら大違いで、スピードにのってワンタッチのパスをつないでシュートしたりする。イマジネーションのチームプレーである。
 22日の午後に試合を見て、夕方の講演会に、ぜひ来ていただきたい。自由参加である。詳しくは、ビバ!サッカー研究会の電話またはホームページで。


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