2005年、日本サッカーにとって大きな課題が二つある。
一つは、ワールドカップ・アジア最終予選で日本代表チームが出場権を取ることである。ぼくの見るところ、最終的には次の年のドイツへの切符を手に入れるだろうと思う。
もう一つの課題は、12月に日本で開催する世界クラブ選手権を成功させることである。欧州と南米だけで争っていたトヨタカップに代わって世界の6地域の代表を全部集めて、本格的なタイトルにしようという大会である。
「ワールドカップ予選はなんとかなるだろうな。ジーコ監督がまたハラハラさせてくれるだろうけど…」と友人が言う。
「でも、世界クラブ選手権はどうかな。興味のないカードばかり増えて盛り上がらないんじゃないか。トヨタカップの一点豪華主義のほうが良かったぜ」
ぼくは、そんなマイナス思考はしたくない。やると決まった以上、これを軌道に乗せるのが日本の役目である。
世界クラブ選手権を開くことになったのには、いろいろな事情があるだろう。その中の一つはアジアとアフリカのレベルが急速にあがって、欧州や南米を相手にしても勝負になるようになってきたからではないか。
だから、12月の大会は、アジアとアフリカが欧州や南米を相手に、タイトルをかけて真剣勝負を挑むことをポイントに盛り上げたい。
「アジアの代表が日本のチームならいいけどね」と友人は、なお冷たいことを言う。「外国同士の試合ばかりならスタジアムも埋まらないだろうよ」
その点は、ぼくは、それほど心配はしていない。
日韓共催の2002年ワールドカップのときに各地に立派なスタジアムができた。また地方の協会関係者もファンも国際大会の経験を貯えた。世界クラブ選手権は、それを活用する機会である。日本サッカー協会の首脳部が適切な準備をすれば、少なくとも2005年の日本開催に関しては、うまくいくと思う。
ポイントになるのはPRである。アジア・アフリカが世界に挑戦する意義を、また日本がそれを軌道に乗せる使命を担っていることを、多くの人びとに知ってもらわなければならない。
「たしかにトヨタカップはPRがよかった。欧州と南米のサッカーの様子を日本に教えてくれたよ。同じことをアジア・アフリカについてやらなくっちゃな」と、友人はようやく前向きになった。
トヨタカップのPRのノウハウを世界クラブ選手権に生かす。これが成功へのカギだろうと思う。 |