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サッカーマガジン 2004年12月21日号
ビバ!サッカー

トヨタ杯の思い出を語ろう!

 トヨタカップが今回で終わりだというので、25回を振り返るシンポジウムを企画したが意外に反響が少ない。最近のファンは興味を持たないだろうとは思ったが、古い友人から「悪いけど行かれないよ」と連絡がくる。日曜日だから友人たちの多くは自分の草サッカーチームの試合やら、近所の子どもたちのサッカー教室の指導やらで忙しい。だが、それだけではなさそうである。
 試合が夜なので、シンポジウムは同じ日の午後に、会場の横浜国際総合競技場のすぐ傍で開催することにした。「おもしろいアイデアだ。試合を見にくるついでに寄ってもらえる」と賛成したが、実は、これにも問題があったようだ。
 干葉の船橋でビバ!サッカー講座をやっていたときのグループの集まりで、こんなことを言われた。「いちばん安いゴール裏の席が7000円なんですよ。切符を買って横浜まで出掛けられませんよ」
 このグループにはジェフユナイテッドのサポーターが多い。ジェフの出る試合が地元千葉で行なわれるのなら無理をしてでも見るが外国同士の試合に大金は出して遠くまでは行かないという。「これはいい傾向かもしれない」と思った。
 日本でサッカーが地域の文化として根付いてきたことの表れではないか。
 日本サッカー狂会というグループがある。協会ではなく「狂う会」である。サッカーが日本でほとんど認知されていなかった40年ほど前から「フットボール」が世界のスポーツであることを知ってもらおうと孤軍奮闘してきた会である。その草分けの一人である鈴木良詔さんに連絡したら、こんなお手紙をもらった。鈴木さんは愛知県のお寺の住職で「サッカー和尚」として知られている。
 トヨタカップの第1回のときは、愛知県の協会の役員をしていて「切符を買ってくれないか」と売り歩いたものだったが、その後は逆に入手が困難になった。今回も1日で完売。手を尽くしたが入手できなかった。「最後のトヨタカップもテレビ観戦で我慢」だという。
 今回は安い席から売れて1万5000円の高い席は残っていたようだが、そんな高い切符を買って地方から出てくるのはたいへんである。
 鈴木和尚のような功労者が報われないのは困るなと思う一方、これほどサッカーが盛んになったことに満足すべきかなとも思った。
 ともあれ、トヨタカップの思い出を、みんなで語りたい。試合の入場券はなくても、シンポジウムには参加できるから興味のある方はお問い合わせを…。 
ビバー・サッカー研究会 


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