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サッカーマガジン 2004年11月2日号
ビバ!サッカー

ジーコ叩き、ひとまずケリ?

 「よかった、よかった」と、ひとまず胸をなでおろしている。ワールドカップをめざす日本代表が、10月13日にマスカットで行なわれたオマーンとの試合に勝って、アジア最終予選出場を決めたからである。「これで、ジーコ叩きも、ひとまず終わりかな」とも思った。
 8カ月前、埼玉スタジアムで、オマーンにロスタイムにやっと1点を挙げて辛勝したあと、ジーコ監督解任論がぱっと燃え上がった。その後、やや沈静化したものの、ずっとくすぶってはいた。でもワールドカップのアジア1次予選をなんとか突破したのだから、とりあえずは一応、鎮火だろう。
 今回も得点は1−0である。しかしアウェーで、引き分けでもよかった試合を勝ったのだから、現地に行った新聞社の特派員の論評は、ジーコに好意的なように読めた。 
 日本がよかったのは、一人ひとりの選手が、自分の判断でしっかりプレーしたことだと思う。試合の内容は、やはり苦しかったようである。押されていて危ない場面が何度もあった。しかし、宮本の適切な判断を軸に守備ラインが巧みな、そしてしぶとい組織的な守りをした。 
 後半7分の得点は、伸二のフリーキックを、俊輔が左サイドに走り出て受けてドリブルで持ち込み、ゴール前へ上げたボールを、鈴木がヘディングで決めたものだった。欧州から呼び戻した2人が的確な判断とパスでチャンスを作り、決めるべき男が決めた。 
 守りについても、攻めについても、これはジーコの狙いどおりではないか。 
 埼玉での第1戦のあとは「ジーコにはしっかりした戦術がない」というような批判もあった。でも、一人ひとりのプレーヤーの自主的な判断力を伸ばして組織を育てようというのが、ジーコの方針のように、ぼくは思っている。 
 「欧州に行っているスターに頼らずに日本にいる体調のいい選手を使え」という意見もあった。「テクニックと戦術能力のすぐれた者を使う」のが、ジーコのやり方だろうと、ぼくは信じている。 
 守りで宮本のリーダーシップが生き、攻めで欧州組の伸二と俊輔が役立ったのは、こういうジーコの方針の成功ではないか。 
 とはいえ、ワールドカップ予選は最初のヤマ場を越えたばかりである。この先にもっと、けわしいヤマがある。だからジーコ批判に固執し続けるのであればいまこそ「ジーコ解任」を求めるときである。 
 でも、ぼくはジーコでいいと思っているし、乗り掛かった船だから最後まで自分のやり方で船を漕いでほしいと思う。


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