プロ野球再編騒動がJリーグにも飛び火してきた。インターネット上の商店街を経営している「楽天」がプロ野球経営に参入したいと言い出した件である。
楽天の三木谷浩史社長は、別会社を通じてJリーグのヴィッセル神戸を経営している。だから、楽天がプロ野球に進出することができたら、三木谷さんはサッカー・チームとプロ野球チームの両方のオーナーになるわけである。
「楽天がプロ野球に名乗り」というニュースが夕刊に載った9月15日、ヴィッセル神戸の幹部が、この問題について選手たちに説明したという。
叶屋宏一専務は次のように話したと地元の新聞に載っていた。
「サッカー・チームに影響はない。いままで通りがんばろう」
「プロ野球といっしょに神戸でやれれば盛り上がっていいじゃないか」
ぼくも同じように考えた。
一つのクラブが、いろいろなスポーツをやっているのは、欧州や中南米ではふつうのことである。一人のオーナーが複数の別のスポーツのプロチームを運営している例もある。日本でも、新潟のアルビレックスはサッカーとバスケットボールのチームを運営している。
こういうことを、日本でも、どんどん試みたらいいじゃないかと思った。
とはいえ、日本のプロ野球の現実は、それほど簡単ではない。
第一に、日本のプロ野球の経営者の中には新参者を毛嫌いする人がいる。新興のインターネット企業となれば、なおさらである。
第二に、楽天の新球団が神戸に本拠地を置くことへの反対がある。三木谷社長は神戸出身だからヴィッセル神戸の経営を引き受けた。プロ野球も当然、神戸を本拠地にと考えている。
ところが、神戸はプロ野球ではオリックス・ブルーウェーブの本拠地である。そのオリックスが大阪の近鉄バッファローズと合併することになった。これが今回のプロ野球再編成騒動の発端だった。合併後の新球団は、オリックス・バッファローズの名称で兵庫県と大阪府の両方をフランチャイズにするという。
「そんな身勝手な」と、ぼくは思う。オリックスは、近鉄の本拠地だった大阪に、さっさと移ればいい。そして神戸を新球団に譲ればいい。神戸の新球団の呼称はブルーウェーブ(青い波)でもいいし、ヴィッセル(船)でもいい。どちらも「港神戸」にちなんだ名前だ。
ぼくは加古川市の兵庫大学で教員をしている。だから地元民として、この問題に大いに関心がある。「兵庫から日本のスポーツに新風を」と願っている。
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