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サッカーマガジン 2004年9月21日号
ビバ!サッカー

世界のサッカー文化を楽しむ

 アテネ・オリンピックで、女子の日本代表チームはなかなかの健闘だった。ただ、ちょっと意外だったのは、アフリカのナイジェリアに敗れたことである。テレビで試合を見たところ体力的に、また運動能力で、ナイジェリアが日本よりもまさっているようだったから、客観的には順当な結果だったのかもしれない。
 「ナイジェリアには勝てるかも」とはじまる前に、なんとなく感じていたのは「アフリカの女子は、まだまだだろう」と思い込んでいたからである。ぼくに先入観があったわけである。
 実をいうと、ナイジェリアについてはその前に勉強する機会があった。
 サッカーマガジンの、このページの熱心な読者が主体になって、東京・北千住の文化センターで月2回の「ビバ!サッカー講座」を開いている。サッカーについての雑学勉強会のようなものだが、今は毎回、日本にいる外国人ゲストを招いて話を聞いている。その中で、5月にナイジェリア人を招いた。ゲストは、東大の大学院で航空宇宙工学を勉強しているアキンボソイエ・テミトベさんだった。
 ナイジェリアは世界で2番目に部族が多い国である。300以上あって、それぞれ言葉や考え方が違うという。これは、サッカーのレベルアップに好都合な条件ではないかと考えた。多様性の中に、サッカーに向いている、いろいろな才能が含まれているだろうからである。
 アフリカは貧しいと先入観を持っていたが、ナイジェリアは違う。ニジェール川を境に北と南に分かれていて、南部は良質な石油が出るので豊かである。世界で10番目の産出量だという。教育が普及していて南部の人は、たいてい大学に行く。もちろんサッカーは、子供たちの間でも、またプロレベルでも、一番の人気スポーツである。
 メモを見たら、テミトベさんは女子についてもちゃんと触れていた。「小学生は昼休みには90%がボールを蹴って遊びます。女の子も平等にやります」
 なるほど、ナイジェリアの女子サッカーが強くなる素地はあるわけだ。せっかく話してくれていたのに、ぼくが聞き過ごしていたわけである。
 というようなわけで、ぼくたちの講座では、必ずしもサッカーの専門家ではないふつうの人から、各国の「サッカーのある暮らし」の話を聞いている。次のワールドカップに備えて、世界のサッカー文化を楽しもうという趣旨である。
 10月からの新学期も次つぎにいろいろな国の人に来てもらう予定である。
 お問い合わせは読売・日本テレビ文化センター北千住「ビバ!サッカー講座」


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