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サッカーマガジン 2004年9月14日号
ビバ!サッカー

五輪サッカーの意味は?

 アテネ・オリンピックの最中に、静岡のエコパ・スタジアムで、日本代表対アルゼンチンの親善試合があった。8月18日である。中国のアジアカップから疲れきって帰った選手たちを動員して、この蒸し暑いさなかに、なんで?と思ったが、それはともかく…。
 試合後の監督記者会見で、アルゼンチンから来ている記者が、真っ先に自国のチームについて質問した。マルセロ・ビエルサ監督はオリンピックのほうに行っている。だから答えたのは監督代行のクラウディオ・ビバス・コーチだった。
 いま、アルゼンチン代表の候補は三つに分かれている。一つはオリンピックに行っている若手である。もう一つは欧州のクラブの第一線で活躍していて、今回来日できなかった選手、そして三つ目が、この日、日本と試合をして2−1で勝ったチームのメンバーである。
 「ワールドカップ南米予選のアルゼンチン代表は、この三つのグループの中から選ばれることになるが、きょうの日本戦に出た選手たちのできは、なかなか良かった。こうなると、選手を選ぶのがたいへんじゃないのか?」というのが、アルゼンチン記者の質問だった。
 「選択肢が広がっていることは確かですが…」と監督代行のビバス・コーチが答えた。「きょうの試合の様子はギリシャにいる監督に報告します。監督はビデオも見るでしょう。そして監督が40人ほどの中から22人を選びます」
 「なるほど、そうか」と、いまさらながらアルゼンチンにとっての、この試合の意味に気がついた。来日メンバーも、控えゴールキーパー1人を除いて、全員が欧州のクラブに属している。ワールドカップ南米予選の試合のときは、外国に出ている選手を寄せ集めて、そのつどチームを編成しなければならない。したがって、オリンピックも、日本との親善試合も、選手たちの調子や相性を確認するための貴重な機会なのである。
 ところで、日本にとっては、どうだったか?
 エコパでの試合について、日本代表のジーコ監督は「この時期に試合をするのは適当でないと意見は述べたが、協会の決めたことなので従うほかはなかった」と、穏やかな口調ではあったが不本意な気持ちは隠さなかった。
 オリンピックのほうはどうか。
 オーバーエージの選手の選び方をみても、現地での試合ぶりをみても、何を狙いでオリンピックに参加したのかが、よく見えない。今の時点での、ぼくの考えは、山本昌邦監督は、結果に対する責任をとって、協会から離れるべきだということである。


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