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サッカーマガジン 2004年8月17日号
ビバ!サッカー

東南アジアに恩返しを!

 アジアカップの決勝トーナメント進出チームが出揃ったのを見て「東南アジアのサッカーに恩返しをする方法はないものか?」と考えた。
 というのは、ベスト8に東南アジアのチームが勝ち残れなかったからである。半世紀ほど前に、日本のサッカーは東南アジアの国にずいぶんお世話になった。いま、この地域のサッカーが伸び悩んでいるのなら、日本が恩返しに手を差し伸べることはできないだろうか。
 広いアジアのサッカーを5つの地域に分けることができる。
 東アジアからは日本、韓国、中国の3チームがベスト8に勝ち進んだ。
 中東からはイラク、イラン、バーレーン、ヨルダンと4チームが入った。この地域のサッカーは、オマーンやヨルダンの台頭でおもしろくなっている。
 中央アジアからは、ウズベキスタンが残った。ここはソ連邦の崩壊後にアジアに加わってきた地域である。
 以上の3地域で8強を占めている。あとの2地域は、インド、パキスタンなどの南アジアとタイ、インドネシアなどの東南アジアである。この地域のサッカーは、このところ、めぼしい成果をあげていない。
 東南アジアの国は、どこもサッカーが盛んで人気がある。太平洋戦争が終わったあと、日本は敗戦に打ちひしがれていて、経済的にも苦しかった。日本のサッカーは、普及度でも、競技水準でも、アジアでも最低の部類だった。そのときに、マレーシアのトンク・アブドル・ラーマン首相が、自国で開催するムルデカ(独立)大会に、日本の代表チームを毎回、招いてくれた。日本のユースチームも毎年のようにマレーシアの大会に参加した。
 その後、日本の国力が復興に向かいつつあるころ、日本のチームはタイや、インドネシアなど東南アジア諸国に出掛けて試合をする機会が多かった。1960年代までは、日本のサッカーは東南アジアに胸を借りていた。国際的な経験をする貴重な機会だった。
 こういうことが、その後の日本のサッカー向上の土台になった。
 いま、日本のサッカーは、普及度でも競技水準でもアジアのトップクラスである。経済的にも恵まれていて、オリンピックやワールドカップの代表チーム強化のために、遠く欧州や南米からチームを呼んで試合をしている。
 そういう、いろいろな企画のなかに、東南アジアのサッカーヘの恩返しを組み込めないだろうか。
 代表チームの試合でなくてもいい。子どもたちのためのイベントでもいい。なにか、いいアイデアはないだろうか?


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