外国の人は、応援するチームを二つ、持っているらしい。
最初の例は、日本で英語の先生をしている英国人に聞いた。「ぼくはウォルブスとアーセナルを応援しています」と、その人は話した。なぜ応援するチームを二つ持っているかというと、この人はウォルバーハンプトンで生まれて育ち、その後、ロンドンに移り住んだので、ウォルバーハンプトン・ワンダラーズとロンドンのアーセナルを、ともに身近に感じているからである。
「これは特別な例だな」と、そのときは思った。
ところがだ。
その後に話を聞いたトルコ航空の日本事務所の人は「トルコ人は応援するチームを二つ持っている」と説明した。
一つは住んでいる地域の小さなクラブのチームを応援し、もう一つは全国リーグで活曜しているクラブチーム、たとえばイスタンブールのような大都市の有名チームの勝ち負けに一喜一憂するというのである。
同じような話を、さらにその後、アルゼンチン人の大学院生からも聞いた。
それで「応援するチームを二つ持っているのは、外国では当たり前なのかもしれない」と、ようやく気が付いた。
日本のように、狭い国に人があふれ、都市がたくさんあり、鉄道や道路が四通八通している国は、そんなにない。多くの国では、人口は一つか二つの大都市に集中し、地方の町は砂漠や草原に点在していて交通も不便である。そういう国の地方の人びとは、自分の住んでいる地域のリーグでサッカーを楽しむ一方で、大都会周辺のビッグ・クラブの試合をテレビやラジオで楽しむのだろう。
こういう話を、どこで仕入れたのかを説明しておこう。
前にこのページで紹介したことだが、東京の読売・日本テレビ文化センター北千住で月に2回「ビバ!サッカー講座」を開いている。そこへ毎回、日本にいる外国人に来てもらって、その国のサッカー事情を話してもらっている。その人たちから聞いて知ったことである。
外国人ゲストは必ずしもサッカー通ではない。ふつうのビジネスマンや留学生である。そういう人たちが、子どものころから、どういうふうにサッカーに接してきたかを聞くと、専門家やマニアの話とは違ったサッカー文化が見えてくる。「それなら私も話してあげよう」という外国人の方がおられたら。ぜひ、ご紹介いただきたい。達者でなくても、日本語で話していただけると、ありがたい。
連絡は「ビバ!サッカー研究会」へ。
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