ジュビロ磐田が9月から地元の大学で「サッカー講座」を開講するというニュースが新聞の片隅に載っていた。静岡産業大学にジュビロの人たちが出掛けて、講義をする。大学生だけでなく一般にも公開する。ジュビロを運営するヤマハ・フットボール・クラブの社長さんをはじめ、フロントのスタッフが毎週講義をするようだ。いわゆる冠講座である。
湘南ベルマーレも、産業能率大学と組んで同じような企画をすでに4月から始めている。これはサッカーマガジンの6月22日号に紹介されていた。
おもしろいアイデアである。
大学は世間との付き合いが少ない世界である。先生方は専門分野については深く研究していても間口が狭いし、実務経験のある人は少ない。そういうところへ現場から外の風を吹き込むのは、大学にとっていい刺激になる。学生たちにも新鮮に感じられるに違いない。
Jのクラブにとっては、地域に協力して新しいファン層を獲得するPRの機会である。大学にはいろいろな専門家がいるから、そういう先生方と提携すれば、新しい分野を開拓する機会になるかもしれない。
クラブの社長さんがスポーツクラブの経営について講義する。トレーナーが選手たちの健康管理について経験を語る。コーチがサッカーの技術と戦術を実例を引きながら具体的に解説する。シーズンオフになれば、選手も顔を出して体験を披露することもできるかもしれない。サッカーをいろんな面から勉強することができるだろう。単なる経験談だけではない。机の上だけの研究でもない。血のかよった「サッカー学」を作り上げることができるのではないか。
実はぼく自身が似たようなことを試みていた。千葉県南船橋の文化センターで「ビバ!サッカー講座京葉」を始めたとき、ジェフユナイテッドにお願いして、スタッフの方に毎回、お話をしていただいた。クラブの三木博計専務さんやGMの祖母井(うばがい)秀隆さんやトレーナーの妻木充法さんなどに、次つぎに来ていただいた。
受講者は社会人の男女だが、多くはジェフのサポーターなので興味深く熱心に聴いて、地域のクラブの在り方やサッカー文化について知識を深めた。
南船橋の講座は、主宰のぼくが歳を取ったせいか、いくつもの仕事を抱えるのが体力的に苦しくなったこともあり、この6月で一応、閉じることにした。しかし、ジュビロとベルマーレの講座ができることを知って、Jリーグのクラブによる講座の先駆けになったと、ちょっとうれしく思っている。
|