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サッカーマガジン 2004年1月27日号
ビバ!サッカー

高校選手権は変わったか?

 高校サッカーは変わっただろうか?そういう思いで、暮れから正月にかけての高校選手権を見てまわった。
 Jリーグができて10年になる。その間に日本のサッカーは大きく変わった。その影響で高校サッカーは、どう変わっただろうか? 結論はこうである。
 プレーヤーは変わった。しかし、チームは変わっていない。十年一日のようである。
 準々決勝の日に、さいたま・浦和の駒場スタジアムで、松本暁司さんに、ばったり会った。サッカー王国といわれた埼玉で県立浦和南高校を率い、1960年代の終わりから1970年代にかけて高校選手権で3度優勝した名監督である。
 「選手たちのレベルはずいぶんあがりましたね」というのが、松本さんの意見だった。 
  ぼくも名監督の意見に100パーセント同意する。
 一人ひとりのテクニックのレベルは、かなりよくなっている。2人がかりでマークされていても、自信を持ってボールを扱い、果敢にドリブルして抜いていく。
 そういうプレーヤーが、どのチームにもいる。一つにはJリーグの影響だろう。もう一つには、テレビでいろいろ見ることができるようになった外国のプレーの影響だろう。
 チームとしてはどうか。
 もちろんレベルはあがっている。しかし戦いぶりは、ぼくが見たかぎりでは、10年前と本質的には変わっていないように思えた。
 たとえば、兵庫県代表の滝川第二である。速いパスをつないで、スピーディーに攻める。ペナルティー・エリアの外からもシュートをどんどん打つ。リズムはあるが変化の乏しい強攻である。
 3回戦で島根県代表・立正大湘南との試合を横浜・三ツ沢で見た。一方的に攻めまくっていたが、鋭いシュートがバーを叩き、ポストに阻まれ、ゴールキーパーにはじき出された。終了間際になって長いスローインからヘディングで1点をとっただけである。
 準々決勝は、さいたま・駒場で和歌山の初芝橋本との試合を見た。立ち上がりに1点を先行したが、その後はがんがん攻めながら追加点を奪えずに、終了近くに追い付かれ、PK戦で、やっとベスト4に出た。
 ひたむきで「高校生らしい試合ぶり」といえるかもしれない。でも型にはまっている。選手の自主性を生かし、相手によって取り組みかたを変えられるような試合ぶりを高校チームに求めるのは無理なのだろうか?


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