アーカイブス・ヘッダー

 

   
サッカーマガジン 2003年11月25日号
ビバ!サッカー

浦和レッズの優勝を喜ぶ

 ヤマザキナビスコカップで浦和レッズが優勝した。「よかった」と喜んでいる。
 レッズに特別のかかわりがあるわけではない。それでも「よかった」と思っているのには三つの理由がある。
 第一は、競技面での話である。レッズは優勝できるだけの条件をずっと持っていながら、Jリーグが始まって以来、一度もタイトルをとっていなかった。力のあるチームが、それを初めて生かすことができた。それがよかった。これはオフト監督のおかげだろう。
 第二は、運営面での話である。レッズは地元に多くの熱心なサポーターを育てた。これは運営の努力とくふうの成果である。とくに広報宣伝の面で、いい仕事を積み重ねてきた。いろいろな広報資料を発行し、ファックスなどで、ばくのところにも届けてくれている。
  他のクラブでも、それぞれ広報宣伝の資料を発行しているだろう。大きな新聞社や雑誌社には送り届けているだろう。インターネットで検索すれば、一般のファンもホームページで見ることができるところもあるだろう。
でもレッズの広報は、飛び抜けて行き届いている。なによりも、関西の地方都市に住んでいるぼくのところにも、サッカージャーナリストの実績を認めて送ってくれるのがうれしい。だから自分勝手ではあるが、レッズの広報を「ひいき」しているわけである。
レッズの優勝を「よかった」と思う第三の理由は、レッズが、地域のクラブとして脱皮するきっかけになることを期待しているからである。
レッズは競技面ではいい選手を集め、外国の監督も招いてトップクラスのチームであるための条件を整えていた。にもかかわらず優勝できなかった。運営面では広報宣伝に力をいれ、多数のサポーターを育てるのに成功した。にもかかわらず、レッズのサポーターは時としてトラブルを引き起こしていた。
そういうことを考えると、クラブの組織面で、母体である「株式会社三菱自動車フットボールクラブ」に、なにか問題があるのではないかと、かねがね考えていた。
レッズのフロントの中心は、日本リーグ時代に三菱のサッカー部で主力選手だった人たちである。それが悪いとはいわない。選手として、あるいは企業人としての実績は、Jリーグでもきっと役に立っているだろう。
しかし、新しい組織には、新しい外の風を入れる必要もある。企業スポーツの古いカラを抜け出して、本当に地元の市民のクラブとなるために、今回の優勝がきっかけになるといいと考えている。


前の記事へ戻る
アーカイブス目次へ

コピーライツ